祖先の霊は仏教の様に極楽浄土を求めず、人は亡くなれば神となって常に家や地域 にあり、山と里を往来して子孫と共に作物の成長を見守るといいます。 山の神が春に里で田の神になり、秋の終りに田の神から山の神に戻るという伝承を 元にして、年神を祖霊と考えたのは柳田国男でした。 お正月にはその大切な神様をお迎えして、おもてなしをするわけです。 苗代の季節に降臨する農神こそが正月の神でありかつ祖先の霊だとする考え方は、 我が国における稲の重要性を表しており、また私個人は天孫降臨とも重なって、 たいへん興味深いと思っています。 アマテラスはニニギが地上に降りる際に、日本が稲作を通じて長く平和で豊かな国 であるようにと稲を授けました。豊葦原瑞穂国の由縁です。またアマテラスの弟の スサノオとカムオオイチヒメの子で穀物の神とされる大歳神とウカノミタマですが 古事記では大歳神を年神と呼びます。穀物の実りが年単位であることが理由です。