そもそも恋愛感情とは
いわゆるニュートラル状態ではありません。
生物としての本能によって特定の固体に執着するわけです。
これが「恋愛状態」です。
「恋をする」というのは、正常な状態から、
本能によって理性ではコントロールし得ない状態になることです。
そしてこれは基本的にタイムリミットが存在します。
ずっと恋をし続けるというのは、基本的に無理なんですね。
これは視点によってリミットをどう捉えるか見解は異なりますが、
付き合いたてのラブラブ状態というのは
数ヶ月~数年で基本的には落ち着きます。
恋愛感情の帰結として結婚を選択する自由恋愛においては、
生物として「恋が冷める」タイミングがほぼ絶対に来てしまいます。
ごく一部例外は居ますけど、
10年20年の夫婦は配偶者に対し「恋はしていない」のです。
結婚とは子供を育てるための社会的制度に過ぎず、
結婚期間とは「恋愛感情の維持期間」ではないのです。
もちろん、イコール嫌いになるという意味ではないですよ。
「恋愛スイッチ」はいつか切れるというだけです。
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それでも長く続いている人は、
「結婚」という社会的制度におけるメリットをお互いに享受していたり、
あるいは社会的体裁のためだったり、
子育てのための養育システムとしてそれを継続していることが多いです。
もちろん、肉体的な接触がなくなっても、
精神的な充足が得られる関係もあります。
ですが、この領域に到れる夫婦というのは実は多くはありません。
精神的な充足がお互いに得られるためには、
恋愛感情とは別の、お互いを尊重し
リスペクトしあう関係が必要だからです。
恋愛感情によって支えられる二人の関係ではなく、
ニュートラルな感情のまま尊重し合う二人になるから、
長く続けられるのです。
世の中の夫婦、大半は配偶者に何らかの不満を持っています。
「子育てや家事を手伝わない」と夫の不満を愚痴る人。
「専業のくせに家事を手抜きにしている」と妻の不満を愚痴る人。
たくさんいますよね?
お互いにああしてほしい、こうして欲しいと、
相手に求めるだけになりがちです。
恋愛感情というブーストで
盲目的になってるときは不満は感じにくい状態ですが、
数ヶ月~数年で「正常」に戻るので
相手の欠点が気になったり不満を感じるのです。
「恋は盲目」「あばたもエクボ」という言葉があるように、
恋をするという事自体がニュートラルな状態ではないんです。
じゃあなんでそうなるかというと、
「恋愛感情」という本能は子孫を残すうえで
”生物として”有効だからですね。
子を作り、子供を育てる期間さえそのブーストが機能すれば、
子孫を残せるという生物としての進化(選択)の結果です。
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3年位内に離婚をする選択をした人の理由は色々あるでしょうが、
恋愛感情の延長として結婚したりすれば、
タイムリミットが過ぎて現実が見えた頃には
「もうやっていけない」となる人が出るんじゃないでしょうか。
「結婚してから変わった」と感じる人は多いと思いますが、
実はあんまり変わってないんです。
結婚する前から欠点は欠点のまま持っていて、
恋愛という状態になっているからそれが見えないだけなんです。
なので、例えば同棲5年10年してから結婚した人は、
恋愛からのスピード婚に比べれば
圧倒的に離婚までの期間が異なるはずです。
自分の周囲でも恋愛から1年以内に結婚した組は
5年位内に3割は離婚しています。
データとしても、5年未満の同居期間だと、
2~3年での離婚に至る割合がもっとも高く28.7%なので、
実感とほぼ一致しています。
一方で5年以上同棲して結婚した組は
サンプルが身の回りには少ないので
参考にはならないかもしれませんが、まだ誰も離婚していません。
こちらもデータとしてはっきり、
結婚前の同居期間が長いほど結婚期間も長い傾向があるとなっています。
「恋愛から目がさめてから」それでも結婚したいと思う相手は、
単なる恋愛相手ではなくなるのです。
恋愛スピード婚とは違い、盲目なまま結婚を選択したわけではないので
お互いの欠点もわかった状態ですから長続きするわけですね。