管理通貨制度を採用すると、
市中にあるマネーは、市中の経済主体のもつ負債と紐づき、発行されることになります。市中にあるマネーが増えれば、市中にある負債が増えます。
資本主義経済体制を採用すると
市中にあるマネーは、継続的に、膨張することで、経済が安定します。市中にあるマネーが継続的に増えれば、市中にある負債が継続的に増えます。
市中にあるマネーは、勝手に湧いてでてきて、勝手に増えたり、減ったりするものではありません。どうして、市中にあるマネーが増えるのかを、把握するべきです。
市中にマネーを供給しているのは、市中銀行です。国家は、市中銀行に、マネー供給の役割を委託しています。
市中銀行は、市中にいる経済主体に対して、その返済能力を査定して、担保を取るなどして、マネーを貸し出します。この際に、マネーを、万年筆でゼロから預金通帳に書き込むことで、マネーを創造して貸し出します。これにより、マネーが市中に供給され、マネーが増えます。ちなみに、借り手が負債を返済すると、市中のマネーが減ります。
この市中銀行の機能を、Money Creation(信用創造)といいます。
管理通貨制度で、資本主義経済制度を運営すると、市中銀行が、Money Creationして、市中の経済主体にマネーを供給する中で、マネーが継続的に増えることになります。これは、つまり、市中の経済主体が、継続的に、負債を増やすことになります。
> >財務省は多分50年以上前から「膨大な財政赤字を何とかしなくてはいけない」と主張していますが、そもそも日本の財政赤字がこんなに膨れ上がったのは何時ごろからなんでしょうか?
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1998年以降です。
1998年以前は、民間の経済活動で、市中にあるマネーがある程度、膨張していました。つまり、民間が継続的に、負債(借金)を増やし、市中銀行からの借り入れで、機械設備投資や、住宅投資を行っていました。
が、1998年以降は、民間の経済活動では、市中にあるマネーが増えなくなりました。
これは、バブル崩壊後の不良債権処理の失敗が大きいです。
1998〜2002年の間に、不良債権処理が進み、市中にあるリスクマネーが100兆円、消滅しました。これにより、市中にはリスクマネーが不足し、民間のリスク投資が減り、民間の経済活動では、市中のマネーの借り入れが増えなくなりました。
このとき、市中銀行が、BIS規制に対応するために、貸し剥がし、貸し渋りを行い、民間企業の借り入れは、増えなくなりました。
また、円高が続いたため、国内製造業が、グローバル化して、製造拠点を、海外に移し、海外で生産し、海外で販売し、海外で利益をあげて、海外にその利益を再投資するようになりました。そのため、国内製造業の国内での借り入れは、減り、国内設備投資が減りました。
1998年以降、民間の経済活動では、市中の借り入れが減り、市中のマネーが膨張しなくなりました。で、
1998年以降、民間経済活動では増えないマネーを、政府が市中銀行から負債を持って、市中にマネーをバラまくことで、市中のマネーが適正量、増えるように、対応しています。
日本経済の場合、市中にあるマネー(マネーストックM2:預金、現金)が、毎年、約25兆円、膨張することで、経済が安定しています。
日本政府は、毎年、30〜40兆円のマネーを、市中銀行から借り入れ、市中銀行のMoney Creationを促すようにしています。このマネーを市中にバラまき、マネーストックが、適正量、膨張するように、マネー量をコントロールしています。
市中のマネーは、勝手に湧いてでてくるものではないです。経済活動の中で、Money Creationされて、供給されています。が、適正量が供給されない場合は、政府が、経済に介入して、経済安定化のために、マネーを市中にバラまくことが、是認されています。このような対応を、ケインズ政策といいます。