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ヨーロッパ製のスタインウエイとアメリカ製のスタインウエイの違いはどこにあるんですか?

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回答(3件)

スタインウェイが1880年にハンブルクに第二の工場を設立したのは、ヨーロッパに販売するのに米国からの輸出だとコストがかかり、また創業者ヘンリーの長男のテオドール(この長男が兄弟の中で最もピアノ作りのセンスがあったとされています)が米国の生活に馴染めずドイツに帰ってピアノ作りをしたいと希望したからです。しばらくは米国製部品をニューヨークからハンブルクに送ってもらって組み立てていました。工場をハンブルクに選んだ理由は、港町であり部品の輸入、製品のヨーロッパ各国への輸出に便利だったからです。ところが、関税などの問題で部品の輸入が不利になり、徐々にドイツ製の部品を使うようになりました。1907年からすべて部品はハンブルク現地で調達するようになりました。それからは米独同じ設計図を使いつつもすこしずつ性格のちがう楽器になりました。米国英語がイギリス英語と少しずつ変化していったのと同じような現象です。 ピアノの命である響板は、ハンブルク工場製はルーマニア産スプルース、ニューヨーク工場製はアラスカのシトカスプルース、側板はそれぞれバーチ、カエデでした。いまは、どちらの工場もシトカスプルース、カエデです。鍵盤はどちらもスタインウェイが買収したドイツのクルーゲ社製です(ちなみに、ファツィオリもベーゼンドルファーも鍵盤はクルーゲ社に発注しています)。白鍵はどちらもプラスチックですが、ハンブルク製の黒鍵は黒檀です。音質に大きく影響するハンマーと弦はハンブルクはレンナー製ハンマーとレスロー製弦(巻線はデーゲンの銅線をハンブルク工場で手巻き)、ニューヨークは自家製ハンマーと弦は米国メイプス社製で米独統一されていません。また両工場の雰囲気はかなり違います。整然vs 雑然は言い過ぎでしょうか。 https://youtu.be/ZJ8GEZT4eBs?si=t7dDOILkwuiwxV0I https://youtu.be/2emqCAtTXD4?si=ET-QL0dqnpdJkHtG 音色の違いは、『多くのピアニストたちの主張によれば、ハンブルク生まれのスタインウェイピアノのほうが、ニューヨーク生まれのスタインウェイピアノより暖かく、甘く、粒の揃った音をだす』(スタインウェイができるまで、p.84 ジェイムズ・バロン著)、私もこの表現の通りだと思います。 ハンブルク工場製スタインウェイの環境で育ったヨーロッパ、中国、韓国、日本のピアニストはやはりハンブルク製を好みます。その証拠に、みなさんニューヨークスタインウェイお膝元のカーネギーホールでのリサイタルでもハンブルク工場製を選んで弾いています。アルゲリッチ、ポリーニ(ポリーニ はファブリーニが手を入れたハンブルク工場製のマイピアノ持参)、エマール、カツァリス、マツーエフ、トリフォノフ、ユジャ・ワン、リ・ユンディ、ラン・ラン、内田光子さん、辻さんなどなど。でも、耳の肥えたカーネギーホールの聴衆も彼らが弾く目の前のスタインウェイがニューヨーク工場製ではなく、まさかのハンブルク工場製だと分かっている人は少ないと思います。米国、カナダで暮らしたピアニスト、ホロヴィッツ、ルドルフ・ゼルキン、グールド、クライバーンらはニューヨークスタインウェイでした。ルービンシュタインはニューヨーク製とハンブルク製の中間のピアノがいいといっていました。両方弾いていました。しかし、自宅のピアノや、カリフォルニアのパサディナでの最後のコンサートはハンブルク製を選んでいます。 どちらがいい悪いでなく、慣れと好みの問題でしょう。しかし、ハンブルク工場製の評価がより高いことをニューヨークの本社は苦々しく思っているかもしれません。それが理由かはわかりませんが、本社は違う方向に進化した2工場製のピアノを統一化したいと2016年頃にOne Steinway Projectを打ち出しました。世界最高のピアノを作り続けてきたハンブルク工場には迷惑な話だと思います。現在外観はほぼ区別できなくなりました。最近のカーネギーホールでのリサイタルの動画をYouTubeでみても、ニューヨーク工場製なのかハンブルク工場製なのかはわかりません。ニューヨーク工場製にはまだペダルボックスに真鍮プレートが付いているはずですが、そこまでは映りませんので。 本社がハンブルク工場に音作りまで干渉するようになり、スピリオ(自動演奏装置付き)の商売に専念するなら、スタインウェイの全盛は終焉を迎えるような気がします。

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ハンブルグ製とニューヨーク製とですが、もともとは、グロトリアン・シュタインウェーグ(グロトリアン)がスタインウェイの発祥で、長男をドイツに残して、ニューヨークに親子で移住し、始めたのがスタインウェイ$サンズ(スタン)です。ところが、米国へ移住した後子供たちがみんななくなって窮地に陥り、ドイツから長男テオドールを呼び寄せて、会社の立て直しをはかりました。(南北戦争のころ?) グロトリアンとスタンは名称を巡って訴訟を起こし、いまでは、ヨーロッパではグロトリアン・シュタインヴェーグの名称を使ってもよいが、日本ではグロトリアンという名称で販売しなければならないようになっています。 経営の立て直しが軌道にのってから、ハンブルグでも製造をはじめたので、ニューヨークの方が歴史が古いと言えます。最初に作ったのがA型で、ついで、BCDの順に作り一時期は3メートルものピアノも試作したようですが、今は、D型が最大のところで落ち着いています。家庭用の小さなピアノを作るノウハウがスタンになかったので、同じくドイツから米国に移住してきたメイソン・ハムリンに作らせて、納得できたので、これにスタンのブランドをつけてラインナップに入れています。したがって、家庭用とコンサート用のA以上では基本設計が異なります。 ハンブルグ製は、SMOABCDがフルラインナップで、ニューヨーク製はAが無くて、L型(リビング)として販売していましたが、最近では、ニューヨーク製でもA型を作るようになりました。ニューヨーク製はアメリカ大陸で販売、ハンブルグ製はそれ以外で販売されていて、日本でニューヨーク製が欲しければ並行輸入しかないようです。 最近の値上げラッシュにより、スタンの最低価格が1000万円以上となっていますので、相当のお金持ちしか新品は買えない状況になっています。また、度重なるスタンの経営危機により、親会社が変わっていますので、中古を購入するには、そのことも考慮する必要があります。 まず、1970年ごろに、大幅なモデルチェンジをしたので、ABCD型は、より金属製の音色が強調されるようになりました。ここを境に音色が違います。それから、ハンブルグとニューヨークとでは、設計は同じなのですが、ハンブルグではcm、ニューヨークではインチが使われていたので、アクションの両者を並べて比較すると、88鍵盤のうち一鍵盤分ニューヨーク製が狭いことが分かっています。 いまは、スタンを買収した親会社が、米国のアクションの下請け企業全社を買収したので、そのような鍵盤幅のばらつきはなくなったそうです。昔、松尾楽器がスタンの総代理店だったころは、ニューヨーク製とハンブルグ製の両方が購入可能で、100万円ほど、ニューヨーク製が安かったと思います。 ご承知のとおり、ピアノは出荷調整という作業が重要で、製造しただけではピアノの音になっていないのです。ピアノを弾きこんで、ハンマーがある程度固まって、ピアノらしい音になるのですが、ハンブルグ製では、自分たちの納得がゆくまで、弾きこみとか出荷調整をしてから出荷するのに対して、ニューヨーク製では1000回弾きこみをして、まずまずならOKという事で、出荷するので、音のばらつきが多い反面、人件費が低く抑えられるほか、米国で製造し米国で販売するので、運送費が安上がりな点で、安いのだと思います。 出来上がったピアノをどれだけ見ても人件費とか運送代は分からないので、音で区別するしかありません。

きのう弾いたスタインウエイには蓋をあけるとニューヨークーハンブルグと書いてあったように思うのですが、これでは何処製がわかりませんね?回答ありがとうございました。

ハンブルクとニューヨークってことですよね。 それぞれの文化での需要に応えて、ハンブルクはクラシックに特化した音に、ニューヨークはいろんなジャンルに対応できる音になったということらしいです。 音ですが、これは僕の弾いた経験ですが、 ニューヨークは柔らかい音がします。 ハンブルクはパキッとした音がします。響き方もそれぞれ違いますね。日本で聞きなじみがあるのはハンブルクでしょう。 評価も価格もハンブルクの方が上ですが、僕はニューヨークの音も好きです。