まず①について3つ考えられます。 1つ目は、生まれたときの身分次第で、字が必要ないパターン。 生まれた時から身分が王以上になることがわかっている場合、字はいりません。敬称だけで呼べてしまうので、名だけあればいいんです。これは時代がくだっても一緒で、殿下とか陛下とか上とかで済むので。もちろん、初代はあることが多いです。 身分が低い場合(学問しない身分とほぼイコール)も必要ありませんが、名すらいらない場合もあります。劉邦の字である季とかは、末っ子、ですから、通じれば大丈夫。 この間の学問する身分は、身内以外との公の交流があるから、対外的な名前が必要になり、それが字です。 2つ目は、劉邦もそうかもしれませんが、後から、または後世に字と名を付けたパターン。 管仲とか鮑叔とか、同時代史料が貧弱で、彼らに相当する人がいたとしても、その人たちが管仲とか鮑叔とイコールとは言えないらしいです。 そうなると、字と名の区別がある時代の歴史家か子孫かが、その時代の常識にあわせて名付けた可能性があります。 3つ目はただただ記録がない場合。 ②社会の発展と統一王朝になって戦乱が減ったことで、役人になるひとが増えたから、対外的な名前である字が必要になっていったのでしょう。 字は、対面ではその人が官位を得る前からの付き合いの人同士とか、同格かそれ以下の身分の親しい人にしか使いません。第三者に対してなら使う頻度は増えます。 官位を得てからの知り合いの場合は、基本的に官職や爵位で呼びます。 劉備なら、長らく劉豫州とか、対面だと劉使君と敬称で呼ばれています。 身分違いの人に面と向かって字呼びは非常識です。 ③氏名字を繋げて書くのは、その文脈で初めて出てきたとき等の特殊な事例で、間違いではないものの、常用はしません。 わざわざ毎回毎回豊臣羽柴筑前守秀吉とか言いません。一度氏名字を紹介したら、あとは氏名だけ、氏字だけで伝わります。 項羽もそれで説明できますね。