これは「系」という熱力学的な概念が役に立ちます
「系」は熱力学的な影響が及ぶ範囲を規定します
宇宙規模の「系」ではエントロピーは不可逆的に増大する一方ですが、地球規模の「系」に閉じて考えると事情は少し異なります
熱力学的には、地球は太陽からエネルギーを吸収し、ほぼ同量のエネルギーを宇宙に放出する「開放系」です
エントロピーの視点では、地球は太陽からの低エントロピーのエネルギーを吸収し、地球からは高エントロピーのエネルギーを宇宙へ放出します
一方、地球上のあらゆる秩序は生命活動によって保たれています
たとえば、これまで人間が廃棄した大抵の物質は遺骸を含めて生物による分解により無機化され自然に還元されてきました
そして生命活動によって再び組織化されます
秩序を生む生命活動の唯一のエネルギー源は太陽です
このように地球全体のエントロピー・レベルは、太陽から吸収するエネルギーのエントロピー・レベルにほぼシンクロします
注:ここで「ほぼ」としたのは、現在は化石燃料や原子力の利用により、地球のエントロピー・レベルを一定に保つバランスが崩れているからです
この「系」の考え方は、人間の経済活動や生活環境に当てはめることも出来ます
あなたの生活環境を一つの「系」と考えると、あなたは経済活動(仕事)を行うことで食糧・電力・ガスなどのエネルギーを得て生活環境の秩序を一定に保つことが出来ます
もしあなた自身が生活環境の秩序を保つ機能を持たなければ、秩序を維持するためには、あなたが獲得したエネルギーの一部を他に形態に転嫁すれば良いのです
たとえば、ハウスキーパーに掃除をして貰うかルンバを購入することで可能となります
さもなくば家の中のエントロピーは増大し続けてカオスになる一方です
このように「系」の範囲をどこまで広げるかによって、秩序とカオスの捉え方が全く異なるものとなります
身の回りの生活環境を唯一の「系」と考えるお母さまからしたら、「系」を宇宙・地球規模で捉えるあなたの考え方は、物ぐさな屁理屈にしか捉えられない恐れはあります