教育学部の教員です。
お子さんのやり方は、減減法といって引き算のやり方としてはあり得ます。そして「多様な発想」とか「色々なやり方を考える」、という意味ではその思いつき自体は良いものです。授業をやっていれば、3割程度の子供はその方法を思いつきます。ですからお子さんは別に変なやり方をしているわけではありません。
ただ、学校で最初に教えるやり方は減加法といって、質問者さんのやり方(まず10の位から8を引いていく)です。減減法はその後で、発展として教えることはあります。
なぜ減加法が標準かというと、色々な理由があるのですが・・・
○一番大きいのは、子供にとっては減加法の方が計算の間違いが少なくなるからです。
その理由ですが
減加法の場合「あといくつで10になるか」ということを考えます。その場合、覚えなくてはならないのは9種類で済みます。
・9はあと1で10
・8はあと2で10
つまり、10-○を計算する場合、9種類の答えを記憶しておけば良いことになります。
ところが減減法の場合は
引く数と引かれる数の種類によって、覚えておかなければならない答えの種類がものすごく増えます。
・9-8
・9-7
・9-6
例えば9だけでも8種類。8だと7種類・・・という風に。覚えていなければ、頭の中で計算をするか、具体物を操作するしか無くなります。この負担が減減法は大きくなってしまうのです。これは数理的な(数学的な)理由ではなく、抽象的な数の概念が育っていない一年生にとって、どちらがより適切かという学習心理の話です。
ですから、お子さんが負担なくそれで計算でき、かつ、減加法と同程度に早く正確にできるなら、どちらでも良いですよということです。ただこれについても論文があって、多くの計算をやらせてみると、減加法でやっている子供の方が早くて正確なのは事実です。
もちろんそれ以外にも理由はあるのですが、長くなるのでこの辺で。