いくつかの方法があります。
合金からの分離といっても、要するに精錬とそう違いはありません。
1)化学的性質の違いを利用する
実験室的には、化学的な手段を使うことが手軽でしょう。
a)酸やアルカリに溶ける・溶けないを利用する
たとえば、金や白金の場合、化学的に非常に不活発なわけですから、不純物となっているその他の元素を溶解した残り、というようなやり方です。
硫酸に入れて加熱してやると、銅は溶解してしまうので、あとは金ともし含まれていれば白金族元素(白金、パラジウム、オスミウム)だけといってよい状態になります。
ペン先など、白金族が混じる金合金のときは、この手が使われることが多いそうです。
またハンダは鉛とスズですが、スズが塩酸に溶けるのを利用して混合比率調整にこの手段をりようしたりします。
b)酸化(ハロゲン化)
融解して空気(酸素)やハロゲンを吹き込んで、酸化しやすいものを酸化物(ハロゲン化物)として取り除く、という手もあります。鉱石からの精錬はこの手が多く、鉄や銅の精錬はこれです。一般的な金合金(金と銅、銀)から金地金を取り出すときは、この手が主流です。
c)電気化学的方法
アルミやアルカリ金属・アルカリ土類金属の精錬で使われる手段です。
溶液や融解状態で電気分解してやると、イオン化傾向の大小で析出する順番がちがったりして、だいたい単体の結晶ができるので、これを利用して分離します。
銅合金(真鍮やブロンズ)や銀合金の分離は、この手が主流です。
いずれも、化学反応で化合物になった方の金属は、還元など一般的な手法で単離することができます。
イオン交換樹脂を使ったり、吸着法などでの分離も利用されます。
2)物理的性質の違いを利用する
化学的な性質にあまり差のないもの同士の場合、物理的な性質の違いを利用します。
a)融点の違い
ほんとうの合金(単に分散しているのではなく、共晶など化合物様の状態)では難しいのですが、とにかく試料を徐々に加熱して、融点の違いで分離するやりかたです。
b)比重の違い
融解したものを遠心分離など比重の違いを利用して分離します。
ハンダや活字合金など、比較的低融点の金属を分離するのに使われることがあります。
以下余談ですが;
工業的には、化学的方法・物理的方法を組み合わせ、全体を通じて経済的なやり方となるように工夫しますので、どれか1種類だけというのはほとんどありません。
基本は、サンプルを化学分析やX線分析などにかけて含まれている元素とその分量を見定めた上で、どのようにバラせば効率的に回収できるかを考えて分離する、ということになります。
また、金や銀は回収しても、その他は「汚泥」扱いというカワイそうなことになるのが普通です。
最近は、これら「汚泥」だったものから、白金族など希少な有益資源を回収する研究が進み、電気電子機器のスクラップが再資源化されつつあるのはご存知の通りです。