私もその発言を知らないのでどういうニュアンスと流れで出たのかは不明ですが。
>ご自身は親御さんに恨むようなことをされたんですか?
恨んではいなかったと思いますが、わだかまりはいくつかあったと思います。
まず父親の菊次郎さんですが、北野家の貧乏の元凶はこの人で、たけしが生まれる前から何回か一家を破産寸前にしてしまいました。これはたけしの母親であるサキさんの著書からわかります。たけしはあまり父親の悪口を言いませんし、話すとしても深刻ぶらずにネタとして盛ったりするので、訊く方はあまり深刻には受け止めませんが、たけしの実兄の著書を見る限り、菊次郎は実際にはかなり深刻な駄目オヤジだったようです。ただ、大氏曰く、「家族の中ではたけしが一番父親に寛大だった」との事。
母親のサキさんに対しては恨みなんかないでしょうし、例えあったとしてもさんざん面倒をかけた事の方が多い分、「恨み」としては口にしないでしょう。そもそも恨みではなく愚痴程度かなと思いますが…。
たけしの義祖母は明治初期に娘義太夫をやっていました。これは当時のアイドル歌手のようなものでした。サキさんは縁があってこの元アイドル歌手の養女になり、彼女の甥である菊次郎と結婚したのですが、内心では芸能人を真っ当な職業とは思っていなかったようです。実際義祖母は娘義太夫引退後は偉いさんの愛人をしており、婚外子を生んで母子家庭でした。そもそもサキさんは仲立ちのいない恋愛結婚を犬猫婚と見下してもいました。サキさんが特別だったというよりは、当時の日本の風潮や価値観がそういうものだっただけですが。
古い人間であるサキさんは、自分の敷いたレールから唯一外れた末っ子のたけしを近所では「死んだ」と言いふらしました。たけしがたまに帰宅すると、隠すようにして家に入れたそうです。たけしがテレビで頭角を現してきてからも、「芸人なんか」と見下していたのですが、たけしが完全に超売れっ子になった途端に手の平を翻したようです。
また、たけしには幹子さんという奥さんがいますが、実はその結婚には秘話があります。たけしは幹子さんとの結婚の意思はなかったのですが、幹子さんが勝手に婚姻届を偽造して提出してしまったのです。たけしが訴えれば離婚出来たでしょうが、そうすると幹子さんが文書偽造で前科持ちになってしまう為、たけしは甘んじました。そういった経緯がある事から、たけしは滅多に婚家に帰らなくなり現在に至りますが、サキさんは生前常に幹子さんの肩を持ち、離婚させなかったそうです。たけしですら母親に価値観に殉じて自分の節を曲げた部分はあるのだろうと思います。
また、たけしには年の離れた長兄と長姉がいますが、中年に到るまでたけしは2人の兄姉を自分とは種違いと信じていました。菊次郎とサキの子はすぐ上の兄の大と自分だけだと信じてたんです。実際は真っ赤な嘘です。サキさんは大とたけしに勉強をさせる為に「上の2人の出来がいいのは菊次郎の種じゃないから。お前らは菊次郎の種でバカなんだから人一倍勉強しなくちゃいけない」と言い聞かせて育てました。たけしだけが鵜呑みにしていたなら滑稽な話ですが、大も中年に到るまで母親に騙されていたのですがかなり深刻な嘘だったのでしょう。菊次郎もひどかったのでしょうが、サキさんも充分夫をヘイトし、幼い大とたけしに影響を与えたように思います。
>そのままの意味?
そのままの意味かもしれませんね。そのままの意味だとしたら、たけしは30前には親への恨みを忘れたのでしょう。どんないい親でも実際に育てられた子からしたらなんらかの不満はあるものでしょう。10代20代までなら不満を持ち続けても仕方ない的な。