大腸がんと血便に関して不安になられているとのことですね。20代前半という若い年齢で大腸がんが発症する可能性は非常に低いですが、家族(祖父母)に大腸がんの方がいらっしゃるとなると、少し心配になるお気持ちはよくわかります。
1. 血便の原因として考えられるもの
痔(切れ痔・いぼ痔)
「便秘やいきみが無いと痔は無い」というイメージを持たれがちですが、実際には下痢や軟便が続く場合でも肛門に負担がかかり、痔になることがあります。肛門周辺のかゆみや違和感は、いぼ痔や肛門周囲の炎症などで起こりやすい症状の一つです。
肛門裂傷(切れ痔と似ていますが、軽い傷や擦り傷)
堅い便が原因というイメージが強いですが、下痢や頻回の排便でも肛門がただれて傷になる場合があります。傷があるときは、排便時に便に血が付着しやすくなります。
大腸ポリープや大腸がん
ご家族の既往歴(祖父母が大腸がん)を踏まえると不安を抱きやすいとは思います。とはいえ、20代前半での大腸がん発症は稀です。ただし「稀=ゼロではない」ので、明らかな血便や便通異常が続く場合は早めに専門医に相談するに越したことはありません。
その他(感染性腸炎や炎症性腸疾患など)
痛みや発熱、腹痛などが強い場合は腸炎や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)も考えられますが、今回の症状だと該当の可能性は低そうに見えます。
2. 「痔っぽい症状」のチェックポイント
排便時に強い痛みはありますか?
切れ痔の場合、排便時に肛門がピリッと切れるような痛みを伴うことが多いです。
トイレットペーパーに鮮血が付くか?
赤色が鮮やかな血がペーパーにつく、便の表面に付着する、ポタポタ落ちるなどは痔の出血でありがちなパターンです。
肛門周辺にいぼのようなふくらみ・腫れはありませんか?
いぼ痔では腫れやふくらみを触れてわかることも多いです。
長時間の座り仕事が多い、もしくは便通の調子(下痢や便秘)が乱れがちではありませんか?
下痢が続くと肛門に負担がかかり、痔になりやすいです。
3. 受診の目安
血便が何度か繰り返す、あるいは量が増えてくる
腹痛・吐き気・嘔吐など他の症状も出てくる
体重が急激に減少している
排便習慣がガラッと変わり、下痢と便秘を繰り返すようになった
ご家族の既往歴があり、不安が強い・定期的な検診を受けていない
上記のような場合には、早めに消化器内科や肛門科を受診するのが安心です。
4. 受診時に行われる検査
肛門診察・指診、肛門鏡検査:痔の有無を確認
便潜血検査:便に血液が混ざっていないかの確認
大腸内視鏡検査:ポリープや炎症、大腸がんが疑われるとき
若い方の場合、初期の段階で内視鏡検査をいきなり行わなくてもまずは肛門科で診察・肛門鏡検査などを受けてみて、「痔が原因だった」ということも多いです。もちろん医師と相談の上、必要なら大腸カメラを検討します。
5. 日頃のケアや気をつけたいこと
トイレで長時間いきまない・座り込まない
下痢や便秘を放置せず、整腸剤や食生活の改善で便通を整える
肛門を清潔・乾燥しすぎないように保つ(ウォシュレットの使いすぎ、ゴシゴシ拭きすぎはNG)
規則正しい食生活と適度な運動
気になる出血が続く時は早めに専門医に相談
まとめると、今回の症状だけで「大腸がんかも?」と極端に心配するよりも、まずは肛門科や消化器内科を受診してみることをおすすめします。20代の方でもまれに大腸がんを発症することはゼロではありませんが、確率としては低いですし、「痔」などの良性の原因で出血するケースが圧倒的に多いです。
もし血便が続いたり、体調に異変があるようなら、早めに専門医のもとで検査を受けてくださいね。ご家族に大腸がんの方がいらっしゃるのであれば、将来的にも定期的な検診を受けておくと安心だと思います。お大事にされてください。