AT限定というのは限定無し(MT免許、なんて言っていますがわかりやすいようにそのように言い方替えているだけ。MT車、AT車の運転が可能)免許とは違い、変速機がAT(オートマチックトランスミッション)の車しか運転できない運転免許です。従いましてAT限定免許でMT車を運転すると免許条件違反となってしまいます。しかしながら教習料金は限定無しに比べると数万円安、教習時間も2時間くらい短いです。
まず、限定無しの運転免許で運転することになるMT車の教習を進行させるためにはまずMT車の仕組みを理解しましょう。内燃機のエンジンの出力はエンジン回転数を上げれば上がります。静止状態からの物体を動かすのには力が必要ですが、その力をいきなり伝えても物事上手く行きません。発進の際は力は要るが速度上がって巡航している際はそこまでは力は要らない。エンジンからの動力を歯車の組み合わせ(トランスミッション(変速機。後述)を通して発進時や登坂など力のいる場面と速度が上がって巡航している場合で変える(変速する)わけです。
エンジンからの動力を上手くタイヤに伝える為にトランスミッション(変速機)と言うものが設けられており、クラッチ(断続器)を介してこれを手動で変速するのがMT(マニュアルトランスミッション)、クラッチの代わりにトルクコンバータ(トルコン。ATフルードを使った流体クラッチ、とでもいいましょうか)を介して自動で行うのAT(オートマチックトランスミッション)になります。AT限定免許はどれだけ楽なものか実感する部分でもあります。
MT車では速度を上げに行くにつれてそれに対応したギヤに変速しないとエンジンの回転数が上がるだけで速度が上がりません。
3段変速機のついたお買い物自転車で説明すると、高、中、低と3つギヤがあって高ですと速度は出るが漕ぎだしに脚力がいる、低だと発進と登坂は楽だがある程度速度が出るとペダル漕ぐ足の回転が速くなる割には速度が上がらない、中だとその中間、割とオールラウンダーで使えてしまう。という具合です。
MT車で置き換えると4速(街中での巡航でも)、5速は高速巡航には使えるが発進には使えない。
3速は街中走行、発進には使わない。
2速は登坂と余程の雪面・凍結路での発進(車による)
1速は発進と登坂
と置き換えられます。
発進の際は半クラッチ(後述)と言う操作でエンジンからの動力を騙し騙し伝えて発進することになりますが、それに失敗するとエンジンストール所謂エンストしてエンジンが停止してしまいます。
エンストするのはエンジン回転数とギヤが速度に対応していない回転数、要は低すぎる、力が弱い、ということです。
ちなみに半クラッチについてですが、エンストしないように発進の際は半クラッチと言う操作を行って、エンジンからの力をスムースに伝達します。クラッチペダルの踏み方はアナログなところがあってデジタルのごとく0と1ではありません。
発進の際、クラッチペダルを踏み込んだ左足をゆっくり戻していくと車がブルブル震えるポイント、エンジン回転数が下がりますからそこで左足をとめて、右足のアクセルペダルをゆっくりと踏みこんで行く速度と左足のクラッチペダルの戻す速度を同じくらいにして発進します(アクセルとクラッチの調和)。
慣れれば平坦路でしたらアクセルペダル踏まずとも発進でき、そのまま車はゆるゆる進みます。平坦な公道での渋滞路などでは何も考えずに普通に発進すると速度が出過ぎるので、アクセルペダルは極力使わずクラッチペダルを踏んだり(動力を遮断)緩く繋いだり(動力を繋げる)の繰り返しの断続クラッチにて通過します。
MT車のクラッチに相当する必須動作は特になくて、ただ、セレクター(MT車でいうシフトノブ)を動かすだけで変速します。
AT車はMT車のように発進の際に半クラッチを使ってエンストしないように気を使って操作することなくP(パーキング)レンジからD(ドライブ)レンジに変速してからブレーキペダルを離せばクリープ現象(流体クラッチ)によって勝手に車が進み始めるのでそこでアクセルペダルを踏めば発進、減速はブレーキペダルを踏みます。
ATのセレクター(シフトパターン)は千差万別です。基本的にはP(パーキング)、R(リバース、後退)、D(ドライブ。前進のみ。搭載されているギヤ数間で速度、アクセルペダルの踏み加減で自動的に変速)があり、公道を走らせる際はDレンジのままですといちいちブレーキ踏まなければならないですし、かったるいのでエンジンブレーキを効かせるのにあたり、車種によって様々ですがオーバードライブをOFFにする、2(セカンド。1-2速間を自動的に変速)やL(ロー。1速のみ)などして変速することになります。