回答前に、ご質問に混同がみられますので、まずそちらのご指摘をさせていただきますが、「宅建業を営む」のと「宅建士の業務」は法律上は全く別物として区別されます。確かに自営業者は自ら専任の宅建士となる場合が大半ではありますが、宅建士を雇用することで、必ずしも自ら宅建士でなくても宅建業を営むことは可能です。 ご質問は「心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者」(法第5条第1項第10号)と、「心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者」(法第18条第1項第12号)が混同しています。 そこで回答ですが、法令には「精神の機能の障害により宅地建物取引業を適正に営むに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」(規則第3条の2)「精神の機能の障害により宅地建物取引士の事務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」(規則第14条の2)と表現されているだけで具体的に精神障害等級で判断するといった記述はありません。また主だった他の法令をみても、その判断を精神障害等級に委ねるとするような法令はみあたりません。 医療に関しては精神科医が判断することはできますが一般的な判断はできても、具体的な職業適性まで踏み込んだ判断ができるかどうかは微妙です。訴訟などの際の証拠として診断書が有効ではありますが医師に最終決定権があるわけではありません。 法令に具体的な定めがない場合は判例などを参考に許認可省庁や最終的には裁判官が心証で決めることになりますので、まずは申請を行うなどして許認可窓口の判断を求め、意に反する判断がされた場合は、行政不服審査を請求したり、裁判所に訴訟をおこすなどして公平な判断を求めることになります。 従って認められるかどうかは個々の事情にもよることなので、ケースバイケースとしか回答できないと思います。少なくとも精神障害等級で一律門前払いということにはならないのではないでしょうか。