理学部卒業生です。
学部の授業内容について、進振り後の 2 年後期~3年次の授業は物理&天文&地物のオーバーラップが大きいです。これらの3学科はいずれも基礎物理学をたたきこまれます。共通項以外の部分は
物理→量子論・物性物理や物理数学などの高度な内容
天文→天体観測や天体物理学の基礎
地物→データ解析や地球流体力学、地震学などの基礎
です。
地環は他3学科とはオーバーラップが少ないです。地質学的、地球科学のための生化学的な基礎やフィールドワークの作法を学ぶと思います。
大学院では、物理学専攻、天文学専攻、地球惑星科学専攻の3つに分かれます。地物と地環は基本的に同じ大学院専攻を受験する感じです。
各学科の研究室の特色について、まず所属できる研究室数ですが、物理&天文 = 物理学系、地物&地環 = 地球惑星科学系のオーバーラップが大きく、物理学系と地球惑星科学系のそれぞれで、100 人くらいの先生の中から、好きな先生を選べる(人気の研究室は入れない可能性もあります)イメージです。
宇宙に関する研究室に限定して述べると、次のような特色があると思いますが、境界がはっきり引けるわけではないです。
物理:素粒子や重力理論関連。または宇宙線研究所などの附置研。
→ 実験や数理によって宇宙を支配する物理法則を解明したい。
天文:天文学、宇宙科学全般。だいたい何でも研究してるかな。
→天文観測と物理学によって宇宙で起きる現象を理解したい。
地物:地球科学または惑星科学を物理的(計算科学的)観点または観測データ解析の観点で研究する。
→地球と近傍宇宙空間(高層大気や磁気圏、惑星など)を、物理学とリモートセンシングを基盤にして理解したい。
地環:いわゆる地質学、地球化学
→フィールドワークを中心に、あらゆる手段を用いて地球を理解したい。その知識がしばしば惑星に転用できる。
国立天文台やJAXA宇宙研の先生に弟子入りしたければ、その先生の専門分野によって天文学専攻か地球惑星科学専攻を大学院受験することになると思います。
簡単なイメージとしては、興味によって次のような選択になります。
・インフレーション理論やダークマター的な宇宙論→物理学科か天文学科
・銀河や天体の姿を解明したい→天文学科
・はやぶさ的なミッション→地球惑星科学専攻
・生命の起源→天文学科か地環
・太陽フレア・磁気嵐→地物