第百七十七条が強姦罪から不同意性交罪に改正されたのは昨年7月1日です。
改正前の件は遡及出来ません。伊藤純也事件は昨年6月。
旧法では暴行又は脅迫を用いないと強姦罪にならない。また、酒を飲ませても心神喪失でなければ準強姦罪にならなかった。
新法では「アルコールを摂取させること」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」など事情があれば不同意性交罪になる事もある。
旧法
第百七十七条 (強姦罪)
暴行又ハ脅迫ヲ以テ十三歳以上ノ婦女ヲ姦淫シタル者ハ強姦ノ罪ト為シ二年以上ノ有期懲役ニ処ス十三歳ニ満タサル婦女ヲ姦淫シタル者亦同シ
第百七十八条 (準強姦罪)
人ノ心神喪失若クハ抗拒不能ニ乗シ又ハ之ヲシテ心神ヲ喪失セ
シメ若クハ抗拒不能ナラシメテ猥褻ノ行為ヲ為シ又ハ姦淫シタル者ハ前二条
ノ例ニ同シ
新法
第百七十七条(不同意性交罪)
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
『前条第一項各号』
一暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
第百七十八条 削除