トガを「ヴィラン」をして完成させたのが、お茶子自身だからです
もともとトガは、ヴィランになりたくてなったわけではありません
生まれついての個性による「価値観の相違」を、両親にまで否定され、拒絶され、心が壊れてしまった先で「自分たちが生きやすい世界」を求めていたにすぎません
全面戦争で、トガは大切な仲間を失い、自分たちの行為もヒーローや社会からみたら戻れないところまで来てもなお
「ただの普通の女の子として、受け入れてもらえる可能性」を夏の合宿からずっと「友達になりたい」と思い続けてきた、お茶子にゆだねました
お茶子の答えは
「お前はヴィランだ、話も聞かない、話もしない
受け入れないから、社会に謝罪しろ」
という言葉と態度でした
トガを一人の人間、一人の女の子ではなく、「ヴィラン」としてしか見てこなかったお茶子は、この時トガが傷つき、諦め、悲しい笑顔と涙で去ったことに初めて衝撃を受けます
お茶子はデク達と違い「ヒーロー」という型にはまった社会の申し子です
自分が生まれ持った、杓子定規の価値観や行動が、どれだけ危険で一方的なものなのか、どれだけ人間性を欠いていたかを知る由もありません
お茶子は爆豪が拉致された時も、切島が躊躇するような言葉で、誰かを救いたい気持ちを否定しました
そんな人生、そんな一年間しか送ってこなかったことで、雄英を去ったデクにすら、デクへの言葉を持ちえず、自分が「変わった」という曖昧な事しか伝えられませんでした
周囲がみんなヒーローとして「何かを救う」成長を遂げる中
自分は一人ひっそりと一人の女の子をヴィランとして覚悟させてしまった
その違和感を解消するための「少女のエゴ」が、トガ戦です
ただ、お茶子はデクのような根っからの救う事への執着や探究はないので
泣いているトガの傷を抉るような言葉を投げて、逆上させもしますし
これまでの関係を考えれば、明らかに心にもない、嘘に似た言葉すら、トガに投げることができました
それが、お茶子が目指したかった、あるいは演じたかった、これまでの自分とは正反対のヒーローかもしれないし
デクの表面をなぞったのかもしれません
ヒロアカの他のキャラと違って、お茶子はその年齢の女の子らしい
筋の通っていない行動が多いので、分かりにくい気がします
でも、それが「JKのエゴ」ですし
メタ的に言えば「最終章になってやたら設定が盛られたのでブレてしまったキャラクター」でもあります