こんにちは。現在東京の某国立大学で美術史を学んでいる者です。自分は受験の際藝大の芸学と迷いましたが、学力的に余裕があったのと、普通に就職する可能性を考えて現在の大学に進学しました。 私は結局のところ普通の受験勉強しかしていませんので、藝大受験以外の質問にのみお答えしますと、まず、美術史が盛んな国公立大学としては、総合大学だと東京、京都、東北、九州、神戸、加えて筑波、大阪、名古屋あたりもよく聞きます。あとは藝大や京都市立芸大、愛知県立芸大のような美大系ですね(参考までに、関東の私大だと早慶と学習院が名門ですかね、関西のことはよく分かりません)。 そのほかは、最近の学会などをちょっと調べてみて、その大学の名前があったら、それなりに美術史をちゃんと学べる環境があることは確かでしょう。 次に、志望される大学を選ぶにあたり、もしやりたい分野が既に明確なのであれば、教鞭を執られている先生の専門分野で決めるのがいちばん良いと思います。質問者様のように将来芸術に関わる仕事をしたいと考えている場合、自分の関心分野と近い領域を専門とされている先生につくことは研究面でも人脈面でも重要です。各大学のホームページに情報は載っていますので、色々と調べてみると良いかもしれません。ちなみに、大学ごとにこまごまとした組織の違いがあるので注意してください。例えば東大の場合、本郷の美術史学と駒場の表象文化で勢力が分かれています。ヨーロッパ近現代美術の気鋭の研究者でいらっしゃる松井先生は美術史学ではなく表象文化の先生ですので、東大で西洋の近現代をやるなら、美術史学より後期教養の表象文化論のほうが良いかもしれません。ちなみに京大なんかは美学と美術史が一緒ですね。 とはいえ、大学に入ってからやりたいことが変わるというのはよくある話で、入学前の関心事を卒論・修論と続けられている方は寧ろ少数派だと思います。そのため、質問者様が、現在ご自身の関心がおありの分野に対して相当の揺るぎない気持ちがあるということでない限りは、ある程度美術史の界隈でネームバリューのある大学に進学されるのが堅実な選択かと思われます。具体的には、国公立志望で学力にはある程度自信がおありとのことですので、東大、藝大、京大、東北大、九大、阪大、神大あたりからお選びになるのが個人的には良いのではないかと思います。 なお、「美術史だけでなく、哲学や思想、歴史の中での美術の役割」に興味がおありとのことですが、現在の美術史学では領域に限らずこのような考え方はむしろスタンダードですので、大学や専門を問わずこのような視点を常に持って研究をすることになると思います(大学により様式重視か史料重視かなどの風土の違いはありますが)。どちらかと言うと、ご関心の地域や時代などが決まっていればそれで絞る方が選びやすいかもしれません。 ちなみに、手前味噌ですが、東京は美術史を盛んにやっている大学が多く(東大藝大早慶学習院など)、ミュージアムもたくさんありますし、美術をやるには良い場所だと思います(東洋をやるなら関西でも)。東京の大学に進学する大きなメリットとして、他大学の美術史学徒と交流できる点が挙げられます。自分の大学は一学年の人数が少ないので、私も他大学の学生から多く刺激を受けています。また、学生だけでなく他大学の先生方と交流することもできます。自分の友人は空きコマに早稲田の授業を聞きに行っています(笑) あと、老婆心ながら、美術史を志しているのであれば、今のうちから行ける展覧会は色々行っておきましょう…勉強は大学入ってからいくらでもできますが、展覧会はその機会を逃すとなかなか次がやってこないですからね。 最後に、藝大受験についてですが、知恵袋ではなくTwitter(X)で情報収集されると良いかと思います。藝大の芸学の人、意外といますよ。DMで質問したら一人くらいは親身に答えてくれると思います。 それでは長くなりましたが、受験勉強など、もろもろ頑張ってください。応援しております。