また公金チューチューになる危険
左翼リベラルが狙う公金利権の温床ー「LGBT理解増進法」の正体とは
WiLL2023年7月号 ジャーナリスト 須田慎一郎
■左派の次なる「メシの種」
本質的な問題はその
「構造」
にあると考えています。
補助金などを目当てに公金の支出を受けるスキーム(枠組み)を作る、いわゆる”公金チューチュー”に利用される可能性が高い。
LGBT法案は
「皆で差別をなくしていこう」
という単なる理念法ではなく、その解消に向けて努力することが義務付けられています。
そのために政府は基本方針を策定し、それに基づいて各地方自治体は基本計画を策定することが、既に条文に盛り込まれている。
そうすると法案にも書かれていますが、基本計画を具体的に進めていくため、地域協議会が立ち上がる。
地域協議会のメンバーは、
①LGBT支援団体
②学識経験者(有識者)
③国と地方公共団体が必要と認めた人
から、選ばれます。
また啓発活動の必要性も条文に記載があるので、今の役所にLGBTの専門家が存在しない以上、LGBTセンターのような組織網もできるでしょう。
こうした組織体が最前線になり、官民一体で対応していく。
そうなると小学校、中学校、高等学校に地域協議会から講師が送り込まれ一定の学習が行われたり、地域の人たちの理解を増進するために必要だとして教材DVDなどが作成され、公民館などでその鑑賞会が開かれる。
つまり、基本計画に沿って至る所に予算が付けられ、そこに公金が投入される。
そうなると地域協議会のメンバーは誰が、どういう基準で決めるのか。
教材DVDの作成などの仕事を地域協議会やLGBTセンターなる組織体から請け負う場合、どういう基準で請負先を決めるのか。
入札なのか、任意なのか。
金額はいくらが適切なのか・・・公金が投じられる先はいくらでもある。
ただ、そもそも立法事実(その法律を成立させるに値するだけの根拠や理由)がないのに法律を作り血税を投入する必要があるのか。
考えれば考えるほど、この問題はメビウスの輪のように戻って来てしまうのです。
差別解消という誰もが反対できないテーマを掲げ、こうした枠組みを構築しておきながら、公金の摑み取りをしようと企む存在がいるのではないか。
既に怪しい団体や活動家が動いているという情報もあります。
「性的少数者に関する法制度がない国はG7では日本だけだ」
「性的少数者に対する相当な数の差別の実害報告が上がっている」
とデマを流布したのも過激な関係団体であり、今回の議論をリードしたことは疑いようのない事実です。
また、一連の議論の中では役所のカゲも見え隠れしている。
国の予算として、どの省庁が担当するかという問題も出てきます。
こうした枠組みを構築することで焼け太りする霞が関サイドの存在が裏にあることは間違いありません。
そうした存在に稲田朋美氏ら自民党議員も惑わされているのではないか。
■暗躍する活動家のカゲ
もちろん、立憲民主党をはじめとする左派リベラルが中心になっている可能性も高い。
そうした存在が性的少数者への歩み寄りを口実にLGBT法制定に向けて急速に進め、支援活動を隠れ蓑にした左派リベラルに属する団体や活動家の活動に予算を付け、公金の支出を受け取らせようという魂胆でしょう。
そういう意味では、SNSなどでLGBT法案を推進する発言が目立つラーム・エマニュエル駐日米国大使も利用されている可能性があります。
私は長年の取材を通じて米国大使館と付き合いがあるので、大使館関係者に、
「なぜ大使は法案を過剰に推進し続けるのか」
「日本国内では『内政干渉』と言われるほど激しい反発が出ていますよ」
と聞いてみました。
すると、大使館関係者から、
「どうやら日本国内から
『性的指向や性自認を巡って差別などの問題が生じている』
『この問題を解消しなければならないので協力してほしい』
というアプローチが大使の耳に届いているようです」
「だから、差別があるのなら解決するための法律が必要だと(大使)本人は義憤(人道のために尽くすこと)に駆られて行動している」
との返答でした。
そこで私は。
「(性的少数者に対する差別について)目立った事案は報告されていませんが、認識が違うのではないか」
と伝えたところ、大使館関係者は、
「そうなのですか」
「でも、このまま法が成立してしまうと
『日本には性的少数者に対する差別があったから法律が制定された』
と諸外国から見られてしまいますよ」
「もちろん米国からもです」
「そうした状況は日本にとってマイナスでしょうから、それなら慎重に議論を進めるべきではないか」
と真っ当な返答がありました。
つまり、法を早急に成立させたいがために米国大使にデマを吹き込んでいる日本人が存在するのです。
どこの政党、どこの団体かは定かではありませんが、身元を意識的に隠して各方面にアプローチをかけ、取り込もうと暗躍している。
そうした怪しい動きについて、LGBT当事者からも不満の声を聴いています。
自分たちの知らない所で自分たちに関する法律が勝手に作られているー当事者無視で議論が進められている事実に問題意識を抱いたLGBT当事者や業界団体から、かねてより
「一体何が起こっているんでしょうか」
「勉強会を開いてほしい」
という声を頂いています。
実際に、そのような人たちにも活動家と思しき人物から
「何か差別されたことがあるでしょう」
と気持ち悪いアプローチがあるという。
何でもいいから事案を引き出そうとするオルグ(左派系団体や政党が組織拡大などのために労働者や学生に対して宣伝や勧誘活動で構成員にしようとする行為)じみた活動は、AV新法の時と同様、誰のための法律なのかと違和感を覚えます。
繰り返しになりますが、LGBT法が成立すれば、対外的には
「日本は性的少数者に対する人権侵害があった」
と政府が認めたも同然となり、対内的には不要な公金が予算として支出される利権が生まれ、それを目的とする団体や活動家が公金の争奪戦を繰り広げ、公金の無駄遣いが加速する。
このようなことで本当に理解増進が進むのか。
国民や当事者の違和感や不信感を煽るだけではないでしょうか。
「先進的な国になって良かった」
で済む話ではないのです。
私にはリベラルが狙う利権の温床だと思えてなりません。