目の付け所が良いですね。
シャーペンに限らず、工業製品の大原則であり、基本中の基本なのが、
「シンプル イズ ベスト」です。
そんなものを引き合いにせずとも、単純な構造ほど丈夫で長持ちします。
ただ、スマッシュのチャックが10万回のノックに耐えるとあっても、
それはパーツ単体での非公式データにすぎません。
個々の製品の耐久性をメーカーが保証しているわけではありません。
それから、現在のスマッシュは「普通」の製品ですが、
初期製品は作りが非常に雑で組み立て精度も低く、
ノックもスムーズにできない個体が普通でした。
ノックの際に軸に無理な力がかかるので頑丈な滑りにくいグリップが不可欠で、
それであんな大仰な構造のグリップになったのだろうと思います。
あの無駄に頑丈なグリップのおかげで短期間で軸が砕けることはないです。
ただ、軸が受け止める負荷や衝撃は手や指に跳ね返ってくるので、
それはそれでうまくはないと思います。
ちなみに現在のスマッシュでは、さすがにノック動作は改善されています。
それから、フレフレ機構やフリシャなどの類似品、
サイドノック、クリップノック、ボディノック、FF-maticなど、
操作がチャックと同心位置ではないものや、軸と垂直方向にノック動作を行わない方式では、
ノック動作の際に力のロスが発生して、軸や内部パーツにストレスが発生します。
そのため、芯の保持力を下げ、チャックの開閉動作に必要な荷重を小さくします。
結果としてチャック単体での強度や耐久性は大きく落ちますが、
その周辺のパーツの負荷が大きく軽減されます。
なので、トータルではシャーペンの寿命はそんなに変わらない場合があります。
かつてスマッシュの異常人気で製造や出荷が追いつかなくなったとき、
ぺんてるでは多くの製品を廃番にしたり、仕様変更を行いました。
タフの口金の仕上げを雑にしたり、
シュタインシャープのチャックのパーツのグレードを落としたり、
なんてことをしました。
そのせいでシュタインシャープのパーツがヤワになり、
チャック自体の強度や耐久性は落ちました。
ただ、もともとシュタインシャープの内部パーツは過剰品質だったため、
チャックの強度を落としたことで、その周囲のパーツの負担が減り、
シャーペン全体としての寿命はむしろ伸びただろうと思われます。
そんなこんなで、チャック単体の強度や耐久性ばかり気にしていても、
あまり意味がないこともあります。
それ以前の問題として、
ドクターグリップはラバーグリップが劣化するので、
あまり神経質にならずに気楽に使い倒すのが正解だろうと思います。