『玉勝間』の現代語訳をお願いしたいです!
『玉勝間』の現代語訳をお願いしたいです! 月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして この歌とりどりに解きたれども、いづれもその意くだくだしくして、1首の趣通らず、これによりて、今おのが思ひ得たる趣をいはんには、まづ二つのや文字は、やはてふ意にて、月も春も、去年に変はらざるよしなり。さて1首の意は、月やは昔の月にあらぬ、月も昔のままなり。春やは昔の春にあらざる、春も昔のままの春なり。しかるにただわが身ひとつのみは、もとの昔のままの身ながら、昔のやうにもあらぬことよ、と詠めるなり。昔とは、思ふ人に逢ひ見たりしほどなり。もとの身といふも、その時のままの身といふことなり。さて身にしてといふは、身ながらの意にて、かくとぢめたるところに、昔のやうにもあらぬことよ、といふ意を含めたるものなり。にしてといへる語のいきほひ、上の句に、月も春も昔のままなるに、といへるとあひ照らして、おのづから含めたる意は聞こゆるなり。この人の歌、心あまりて詞たらずといへるは、かかるをいへるなるべし。伊勢物語の端の詞に、立ちて見ゐて見みれど、去年に似るべくもあらず、といへるは、この含めたる意をあらはしたるものなり。去年に似ぬとは、月春の似ぬにはあらず、見るわが心地の去年に似ぬなり。 長くてすみません
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