プリンタの修理屋です。 インクの残量を検知する方法は、「ドットカウント方式」と言うのが一般的で、機械さえ正常なら残量がほぼリニアにわかります。 何かを印刷すると、ノズルを１本づつ指定してインクを噴射させます。 制御側は何回噴射したかをカウントするのは容易に出来ます。 それにインク粒の体積をかけると、消費したインク量がわかります。 また、クリーニングでもインクを消費しますけど、クリーニングのモードによって消費するインク量は決まっています。 そこで、クリーニングの回数とモードを記録しておけば、インクの消費量がわかります。 これらの合計を計算して控えておき、最初のインクタンクのインク量から差し引いて警告を出しています。 そのデーターは、昔の機種ではプリンタ本体のメモリに記録していたのですが、この方式だと使いかけのインクの場合は残量がわからなくなってしまうという現象が起こりますし、空のインクを装着してプリンタのメモリをリセットしてヘッドが空焚き状態になってヘッドを壊すことなどがありました。 そこで、インクタンクに、ＩＣチップをつけて、インクタンクごとに記録させるようにしました。 ＩＣチップはインク残量をキャッチするのではなく、そのデーターを控えるための方式です。 ドットカウント方式は機械さえ正常なら・・・・と書きましたが、ノズルつまりでインクの噴射量が減る、クリーニングを行うユニット（ポンプユニット）が不調になり吸引が弱くなってくると、吸引されるインク量が減ります。 インクの実際の量は測定できませんので、メモリのカウントよりも消費されるインクは少なくて、警告が出てインクタンクを見ると中身がずいぶん残っているという現象が起こります。 （エプソンの場合は正常でも残る仕様のようです。） 警告が出る、あるいはインクが空という表示が出ているのに、インクが大量に残っているというのでしたら、プリンタの故障が考えられます。 これ以外にインクの残量を知る方法は、キヤノンの光学式があります。 この方式は1998年の ＢＪ Ｆ６００ から採用されています。（以前のBJC-600Jでも近い機構はあったのですけど） インクタンクの底の一部をプリズム状に加工し、下から光を当てます。（ＬＥＤからの光で、レーザー光に近いです） インクが入っているときは、プリズム面での屈折が弱く、光はインクタンク内に散ってしまいますけど、空になるとプリズム面で反射して、発行部の横の受光部に光が返ってきます。 これでインクが規定値以下になったと判定して、警告を出します。 その後使い続けると、プリントヘッド内部のセンサ（詳細な方式は不明）が反応して「インクなし」となって停止させることになっています。 光学式の場合、残量を知ることは出来ませんけど、一定のレベルになると正確に教えてくれていました。 現在のキヤノンはＩＣチップを使ったドットカウント式＋光学式を採用しています。 何かの加減で計算上のインク消費量よりも、実際のインク消費が多くなり、カウント上のインクはたくさんあるのに、インクタンクが空、と言う場合の安全装置のようなものでしょう。 ひょっとすると、光学センサが反応したら、そちらに制御を切り替えているかも知れません。 最近のキヤノンのインクタンクは、警告が出た時点でキレイに空っぽというのが多いです。