由来は溥儀の自叙伝「我的前半生」。こちらは初版時に約１６万字が削除されていることが知られています。 皇后の子については２００４年３月中国群衆出版社が「我的前半生」の資料を整理する時に見つかった、未公開の第一版、第二版の中に含まれていた内容でほかにも戦後の軍事国際法廷、離婚についての部分があったようです。 これらの内容が削除されたのは、当時編集を担当した者が「群衆に不愉快な内容を削除する」という趣旨に由来すると、群衆出版社の担当者が語っていたそうです。 皇后はそもそも当時の日本軍による厳しい監視生活を夫婦ともに強いられていたようで、溥儀も作品中で「彼女にしか八つ当たりができなかった」と語っていたため、非常にストレスが溜まっていたのでしょう。そして彼女は父や兄に進められて、アヘン依存症になっていたようです。そして溥儀は「彼女が大連に向かう時に、彼女の兄が利益のために、彼女に同行する日本軍の役人との密通を進めたのだろう」と語っています。 「１９３５年、彼女の妊娠が発覚した時の心情はうまく表現できない。非常に憤りを覚えたと同時に、日本人に絶対知られたくなかったため、彼女に八つ当たりするしかなかった。 彼女は死ぬまで夢を見ていただろう、子供が生きていると。彼女は子供は生まれたすぐにボイラーに投げ込まれたなんて知らず、ただ兄が毎月養育費をもらい、他所で子供を育てていると信じていた。私たちが離婚した後、彼女のアヘン依存がますます強くなり、さらに病弱だったため、わずか２年後に吉林で亡くなってしまった。」 ――「我的前半生」の記述を我流で訳しました。 以上の記述を元に番号付けをすると、 ①1935年、妊娠発覚 ②皇后には、愛人が2人いた。この愛人達は、追放される。 ③溥儀は、離縁し皇后を廃そうとしたが 周りの反対で出来ず。 ④皇后は、認知を哀願。溥儀 認めず。 ⑤秘密にするため、分娩時 医者を呼ぶことも禁止。 ⑥女の子が生まれ 皇后は下女に託し 毎月養育費を届けさせるが、実は、溥儀が「捨ててしまえ」と命令し、生後1時間もしないうちにボイラーに投げ込み殺害。 ①、②、⑥は直接彼女の夫にあたる溥儀の自叙伝で述べられています。ただし、②にある愛人の数は二人であるかどうか、彼らのその後は分かりません。 ③については、周りの意見とともに、その時点で皇后を廃してしまったら、日本人女性と結婚させられてしまう可能性があるため、おそらく溥儀は廃したいのと、廃したくないのと両方の気持ちがあったのでしょう。 ④、⑤は溥儀の直接の記録で関係する記述を見つけることはできなかった。当時の日本人関係者に隠していたのでしょうから、溥儀の側近の著作などがあれば確認できるかもしれません。 ⑥は子供の性別は「我的前半生」の中では言及していません。生後まもなくボイラーに投げ込まれて殺害されたのは確かです。 溥儀について非常に語りづらいのは、その時の日本軍について触れざるを得ない部分です。彼の自叙伝の中では、日本軍は彼を操り人形にする完全悪なので…子供を殺してしまったのも、自分の子供に仕立て上げられて傀儡政権の旗印に使われるのがいやだ、という考えがどこかにあったのかもしれません。