映画や音楽も「消費される場所」が、
内容に大きく影響します。
見る人(聴く人)の、生活環境や言語
生活習慣、価値観などで、
面白いと感じるツボや、
心に響くポイントが違ってくるからです。
当然、日本人が楽しめるコンテンツは、
同じ日本人のクリエイターが作った方が、
面白く見せたり、感動させたり、し易いわけで、
消費者ウケも良くなっていきます。
1980年代から、1990年代終わりまで、
音楽も、映画やドラマも、
日本では、まだ発展途上で、
映画は、圧倒的に
ハリウッド製の洋画が勝ってましたし、
音楽も、イギリス、アメリカ発信の
ミュージシャンの方が、
数も、質も、はるかに上でしたが、
2000年代になって、
漫画~アニメ産業の活発化が発端となって、
日本の映画やドラマの制作本数や
作品の品質が、爆発的に高くなりました。
音楽も、バンド・ブームなどを経て、
ボーカロイドの登場や、
ネット配信を軸とした、
「歌ってみた」「弾いてみた」の、
新たなプラットフォームが生まれて、
ミュージシャンが世に出る間口が、
爆発的に増えて、
芸能事務所やレコード会社などの
フィルターを通すことなく、
ダイレクトに、コンテンツ(曲や歌)が、
消費者に届くようになって、
邦楽の数や種類の「厚み」が各段に増したと思います。
こうしたコトで、日本国内で生産される
映像作品や音楽が、質、量とも、充実しているので、
消費者が、海外の作品まで、
求める必要が減った、と言う事だと、
私は感じています。
あと、私(もうそろそろ還暦)の若い頃は、
見る(聴く)側にも、変なバイアスがあって、
国内の映画や音楽を、喜んで見聞きする人は、
「感性の鈍い、田舎者」みたいな蔑視があり、
「感性の鋭い、イケてるヤツは、必然的に、
洋楽(や洋画)に行くものだ」と
変な特権意識があったコトも確かです。
当時の、そうした価値観をリードしてたのは、
雑誌メディアで、
映画なら『キネマ旬報』とか、
音楽なら『ロッキング・オン』とかで、
渋谷陽一とか、ピータ・バラカンとか、
その筋の「権威」が居て、
「解ってるヤツは、これを聴くべき!
バカには解るまい」
みたいな論調の「解説」が載っていて、
私らは、それを鵜呑みにしてた、と言う、
アホな消費者だったのですが、
今は、もっと自由に、
「自分の感性に響いたものが良い物」と言う、
当たり前の選択を、普通にできている、
その結果が、洋楽、洋画の、
日本国内での衰退に、繋がっているのだろうな、
と私は感じます。
…決して、洋楽や洋画の質が落ちたワケではなくて、
邦楽、邦画のレベルが上がって、
エンタメ・コンテンツの地産地消が進んだ結果、
相対的に、そうなった、と言うだけですけど。