漫画家の人には画力が高かったり、常人には考えつかないような展開を考えつく、いわゆる読者から天才と言われるような人もいますが、それはつまりIQが高いという意味ですか?
違うと思います。
少なくともIQの知能検査の中に想像力を測ると明確に記載された項目はありません。
しかし、関連する部分もあります。
例えば、知能検査のWAIS-Ⅳ では大きく分けて「①言語理解」「②知覚推理」「③ワーキングメモリー」「④処理速度」という4つの指標があります。
これらのそれぞれが高い場合に漫画という一つの作品においてあると有利に働く分野があると考えられます。
まず①言語理解は、語彙やことばで説明する力などを測る指標です。コミュニケーションや文章をわかりやすくまとめる能力が高いと、読者に複雑な設定でもわかりやすく伝える事ができると言えるでしょう。
漫画にわかりやすさは重要だと思いますので、高い事で有利に働くと考えられます。
②知覚推理は、目で見た情報を踏まえて論理的に物事を考える力を測る指標です。
また、「流動性知能」と呼ばれる新しい情報への適応に必要な能力についても測ることができます。これが高いと数学の図形や論理的な思考力が高いと言えます。
すると作者が日常から得られる情報の読解力が高いため、大量にある世の中の情報や読者の傾向を分析して読者が求めるものや世の中の需要に対して答えを出す力は、漫画家にも役立つと言えるでしょう。
③ワーキングメモリーは耳から入った情報を短時間記憶にとどめたり、その情報を頭の中で整理しながら考える力を測る指標です。
漫画家には一見役に立たなそうですが、高い事で作者が普段耳から得た情報をきちんと得られるのでアンテナが広く張れると考えることもできます。
④処理速度は目で見たものを書き写すなど、単純作業を素早く、正確に行う力をはかる指標です。
これは画力に直結します。
しかし、これだけで面白い漫画が描けるとはなりません。漫画の多くは長時間労働で書き続ける忍耐力が必要ですし、足りない部分は編集が埋めてくれるかもしれないですし、面白い漫画家でも面白くない漫画を描いていた事もあったので、必ずしもIQが関係あるとは私は思いません。