小論文の書き始めは「筆者の主張を捉え、それに対する自分の見解を示す」ことがポイントです。ただし、筆者が何を主張しているのかがはっきり書かれていない場合は、自分なりに読み取った要点をまず提示し、それに対する自分の考えを示したうえで、体験談につなげる構成がわかりやすいです。以下にいくつかの書き始めパターンの例を紹介します。
パターン1:シンプルな型
例文
筆者は本稿を通じて、主に「○○」を提起しているように感じられる。私はこの主張に対して、「△△」と考える。本稿では、筆者の意図を踏まえたうえで、私自身の体験を交えながらこの考えを深めていきたい。
ポイント
• 「筆者は~と主張している」とズバリ断言してもよいですが、明示されていない場合は「提起しているように感じられる」とやや柔らかく書く。
• 「私は~と考える」と自分の立場をはっきり述べてから「この考えを深める」と提示し、体験談や論拠に自然につなげる。
パターン2:疑問から導入する
例文
本文を読み進めると、筆者が示している論点は「○○」にあるように思う。しかし、私はこの点について「本当にそうだろうか」という疑問を抱いた。本稿では、その理由とあわせて、私自身の体験を交えながら筆者の主張を再考してみたい。
ポイント
• 「疑問を投げかける」パターン。筆者の主張らしき部分を読み取り、それに対し率直な疑問を提示することで、読み手に興味を引きつけられる。
• そのうえで自分の考えを示し、「体験を交えつつ再考する」という方向性を示しておく。
パターン3:自分の体験から先に入る
例文
かつて私は○○という経験をしたことがある。その際、私は「△△」の大切さを強く感じた。今回、筆者の文章を読む中で、筆者もまた「△△」の必要性を示唆しているように思われる。私は筆者の主張を、自分自身の体験に照らし合わせながら考えてみたい。
ポイント
• あえて「体験」を導入に据えて、「その体験を通じて気づいたこと」と「筆者の主張」を結びつける書き方。
• ただし、体験談を先に出す場合は「筆者の主張」とのリンクをすぐに示し、話が脱線しないように注意する。
パターン4:社会的背景から入る
例文
現代社会では、○○の問題が取り沙汰されている。筆者の文章にも、そのような社会状況を踏まえた「△△」への問題意識がうかがえる。私はこの筆者の視点に大いに賛同する部分がある一方、自分の体験から考えると別の見方もできると感じる。本稿では、その両面を探っていきたい。
ポイント
• 「社会全体の潮流や問題点」を示したうえで、筆者の主張を「同じ土俵」に乗せる書き方。
• 社会的背景と筆者の考えをつなげることで、序盤から広い視点をアピールできる。
まとめ
いずれのパターンでも「筆者の主張」と「自分の考え」をはっきり提示したうえで、これから展開する「体験談」や「論拠」を予告しておくことが大切です。書き出しに迷ったら、次の順番を意識してみてください。
1. 筆者の主張(または自分が受け取った要点)の提示
2. それに対する自分の立場や疑問の提示
3. その後、体験談や論拠で根拠を示す予告
このように構成しておくと、読み手(採点者)にとっても「何について、どんな結論を目指しているか」が分かりやすくなります。提出後の推敲段階でも、書き始めがぶれないか確認しながら800字を仕上げてみてください。応援しています。