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仮想仕事の原理はなぜ使うんですか? 製造業に勤めています。 仕事で構造解析系のシミュレーションをよくやるようになり 解析学、有限要素法等を勉強中です 初心者向けの本は1,2冊読み

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回答(2件)

仮想仕事の原理というのは,最も重要な原理のひとつです。 まずつり合い式やひずみの定義とか構成則は,たいていは 局所理論,つまりある x の近傍の微分方程式で表されて います。つり合い式は σ・∇+X=0, ひずみはε=1/2(∇u+u∇), 構成則は,例えばHooke の法則ならσ=C:εといったように。 仮想仕事の原理というのは,局所的な支配方程式ではなく, ある領域で平均的に成立する原理になりますから,例えば ∫_V v・(σ・∇+X) dV = 0 のように,つり合い式がちょっとだけ仮想的に変位 v した ときに,物体全体 V で成立する式に変換できます。物体内 のある点のつり合っている力に仮想的な変位 v を掛け算し たので,それを仮想仕事と呼んでいて,それを対象とする ある領域全体で足し算した合計を仮想仕事の原理と呼んで いるわけです。 ところで,全ポテンシャルエネルギーの停留原理というのは ご存じですよね。突然ですが・・・全ポテンシャルを Π=1/2∫ ε:σ dV - ∫ X・v dV - 境界条件についてのポテンシャル と定義して,実は上の局所理論,つり合い式などは,このΠ が停留する原理だよ,という奴です。つまり δΠ = 0 という第一変分(関数で微分することをざっくりと変分と呼ぶ)が ゼロになるという条件が,つり合い式とかひずみの定義とか 構成則が局所的に成立するものと同じなんだよぉ,という原理 のことです。エネルギー保存則とはちがいますよ。 実は,この第一変分がその仮想仕事そのものなんです。つまり, 上の仮想仕事の式の仮想変位 v を変位の変分量 δu で置き換えた 式が,この停留原理と一致するわけ。 δΠ = ∫_V δu・(σ・∇+X) dV = 0 なわけです。 有限要素法というのは,ある任意の物質点 x の局所的な微分 方程式を解くかわりに,ある小さい領域(有限要素 V )を 取り出して,V の中の個々の物質点ではなく,その V の中 で「平均的に局所的なつり合い式などを満足する近似解が 求められたらいいなぁ」という願望を実行したものです。 ですから上の仮想仕事式 δΠ=0 の u に変位関数を多項式で 近似定義して,積分することによって,代数方程式 K U = F という代数方程式に変換したわけだ。これを解けば,有限要素 の節点の変位 U の近似値が求められますよ。だって,基礎と した式は仮想仕事式だったし,仮想仕事式というのは,物質点 での厳密な式じゃないけど,ある小さい領域で平均的に 力学が満足すべきつり合い式・ひずみの定義・構成則を に満足してるでしょ,という考え方なわけです。 仮想仕事というのは,実は関数の内積なわけです。もうわからな いですか? ある関数 f と別の関数 g の内積を,フーリエ解析など では <f, g> ∫ f(x) g(x) dx のように定義しているんです。これがユークリッド幾何とそれを 一般化した線形代数空間の内積をさらに無限次元の関数空間に 拡張した概念なわけ。で,仮想仕事というのは < 厳密解, 近似解 > = 0 という表現なわけで,厳密解への「ベクトル」と近似解への 「ベクトル」が「直交している」ことから,近似解の集合の 中のベクトルのうちの厳密解に最も近い解が求められますよぉ ということになっているわけだ。これが有限要素法の原理。 上の第一変分も <δu, (σ・∇+X)> = 0 という式でしょ。 上に述べたようにこの内積はフーリエ解析・フーリエ級数で 使っていますよ。例えば sine 関数は上で定義した関数の内積 で直交します。やってみましょうか f=sin(2πx), g=sin(5πx) だったとして <f,g>=∫_0^2π f g dx = 0 になりますよね。つまり,fとgは内積がゼロなんだから お互いに直交していると呼ぶわけ。これが成立するから フーリエ係数は例えば a_n=1/(2π)∫ f * sin nπx dx のように計算できたりするわけよ。材料力学や構造力学の 多くの原理は仮想仕事の原理,内積がゼロになる原理を 使っています。相反定理,カスティリアーノの定理の基礎, 最小仕事の原理,単位荷重法・・・・

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メーカーの技術者さんたちが集まる講習会・講演会があります。 https://www.jancae.org/study/ リピーターがたくさんいるそうです。有限要素法に ついての講習会です。みなさん,大学では真面目に勉強して いなかったんですね。僕も参加したことがあります。

基本的な力学、シミュレーションをやるだけなら不要な知識です。 仮想仕事の原理のような、平衡点やつりあいというものの考え方から出発して力学(というか物理全体というか)を数理科学的に構築したものを解析力学、といいますが、そういうしっかりした物理がシミュレーションなどの数理の背景にはあります。しかし、質問者さんのレベルだと、はっきり言って不要と思われます。

ちゃんと勉強するならしっかりした力学(解析力学まで含む)を勉強すべきで、いきなりそれを応用した内容の本で勉強してもダメです。