最新の研究とか探せば、あるいは違うのかもしれませんが、「Fw190D」は、ちょっと好きな人なら知らない人がいないほどの高い知名度があるのに反して、実績としてはほとんど無いと言っても良い、無視しても良いレベルです。
失礼ながら、前の回答者さんの「バルクボルン」と「クルピンスキー」で調べてみたんですが、私が持っている資料、海外版も含めた記述では確認できない、もしかしたら新しい研究とかなのかもしれません。
例えば「バルクボルン」は、1945年2月11日に「前線飛行章金賞」というのを受けていて、確かにこの時の乗機は「Fw190D9」なんですが、私の持っている資料では「この機体で出撃したのか不明」となっています。
「クルピンスキー」に至っては、同じ戦闘団の中に「D9」が配備されていたのは確かですが、これも私が調べた範囲では、彼自身が乗ったのかも確認できないレベルでした。
そもそも、「Fw190D型」は、あの「Me262ジェット戦闘機」よりも実戦配備が遅い機体で、既にドイツ空軍では戦闘機での迎撃自体がほとんど無い、特に「有名パイロット」は強い出撃禁止、あるいは制限が課せられていた時代なんです。
だから、前記の2人はいずれも「Jv44」=ガーランド中将が末期に編成した、ベテランパイロットを集めた有名ジェット戦闘機隊、にも所属し、ただ、時すでに遅く、いずれも戦果は挙げられていない、と記録されています。
そもそも「Fw190D」の戦果と明確なものも、ごく少ないとされています。
ともかく、ドイツ空軍戦闘機隊の活動は、1944年初頭の「ビックウィーク」と連合軍が呼んだ大攻勢でほぼ崩壊、その後は「対空砲中心」と言っても過言ではない、その中でいろいろな逸話がある訳で、その中で「Fw190D」や「Bf109K」と言った「高性能機」は、かなりの知名度ではありますが、「実際の活躍」はほとんど無いんですよ。
これは、ある意味「P‐51の名声」とも似ている気がします。
その知名度の割には活躍していない、少なくとも戦局に貢献したとも言い難いイメージがありますが、「Fw190D」はさらにどうでも良い感じがあります。
こういうのある意味、何て言うのかな、「初心者の暴走」と言ったら語感が悪いですが、ついつい「一番強いのは何?」みたいなことから、変な知識が付いちゃうって感じで、例えば「烈風」を実戦機だと言い張る痛い人とか出てきちゃう感じにも近い訳です。
そもそも、「Fw190D」が出撃した有名作戦は、1945年1月1日の「ボーデンプラッテ作戦」くらいしか無く、この編成を見ても、機数は1割程度、多分は「最新鋭機」として投入されたのでしょうが、それでも部隊としては「JG26と、54などの一部」で、しかもその所属パイロットの証言でも、「習熟飛行もほとんどできなかった」とあります。
現存するD型の1機の搭乗員、戦後、米軍で「模擬空戦」を行った「フランク・ゲッツ」は最後のJG26指揮官でしたが、「D型での飛行経験は10回程度」と証言しています。
当時、ドイツ空軍では、ヨーロッパでは飛行時間が短めとは言え、「最低50回の習熟飛行」みたいにも言われていた訳です。
つまりは、知名度の割には残念ながら、「Fw190D」の活躍は、「ほぼゼロ」と言っても問題が無いレベルでしか無いってことです。