ミツバチの”8の字ダンス”は、エサ場の方角(方位)を仲間に伝える暗号です。
暗号というのは「暗号化」と「翻訳」という2つの要素があり、その関係性を問題から見抜く体で出題されますが、かつては慶應の幼稚舎(付小)の入試問題にも出たくらいで、仕組みは知っておかないと困る問題です。毎年、あちこちの学校で繰り返し出題されてますのでね。
ミツバチは「暗号」を使える数少ない動物です。ミツバチは、”エサ場と巣の位置関係”を巣板上での8の字ダンスで暗号化し、巣の仲間たちはそのダンスを”翻訳”してエサ場の方位を知る、ということです。
暗号化の鍵は「太陽が見える方位」です。ここで方位を右上とか左斜め下とか書くとややこしいので、方位を時計の文字盤で表しますね。巣板に時計の文字盤があって、その上で8の字ダンスをすると考えてください。
ミツバチは『太陽の見える方位を巣板の垂直上向き』に置換します。
例えば、太陽が”真南”にあるときは、太陽の見える真南は巣板上にある文字盤の”12時の方向”になります。
そして巣の真東の方向にエサ場があるなら、8の字ダンスは”9時の方向”になります。8の字ダンスの方向というのは、お手持ちの図の「8の字の中央」の線の向きです。
また、8の字ダンスの中央の線が”3時の方向”を向いているなら、12時が南ですから3時は東なので、エサ場は「巣の東にある」ということです。
この仕組みさえ理解すれば、基本的に困ることはありません。
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入試問題には、これを基礎にした応用題もよく見られます。
文で書くとややこしいので、うまく図に落とし込みながら読んで下さい。
今度は、エサ場の方位は方位角で表現します。方位角では、
『真北が0度、真東が90度、真南が180度、真西が270度』
と右回り(時計回り)で表されます。
(1) 現在の時刻が10時で、ミツバチの8の字ダンスが”4時の方向”のとき、巣から見たエサ場の方位は?
→このとき、太陽の方位角は「150度」(真南の180度より30度東寄り)です。
そして、8の字ダンスが”4時の方向”(←12時との角度差は120度)なので、
エサ場の方位角は、150+120=270度となります。つまり、巣の「(真)西」にエサ場があることになります。
(2) 正午になると、ミツバチの8の字ダンスは”何時の方向”になる?
→太陽は南中すると考えるので、太陽の方位角は「180度」になります。
でも、エサ場は巣の真西(=方位角は270度)にあるのですから、8の字ダンスは「3時の方向」になります。
(あえて計算式を書くなら、270-180=90度(時計回り)ですから「3時」となります。だれも計算式なんて書きませんけど・・・)
まあ、実際の入試では方位角なんて使わせません(^_^; その代わりに図示をさせます。合格する者はこんな設問は落としませんから、合否を分けることになるので、知らないと本当に困ることになります。
以上、ご参考までに。