いいえ、妹や弟と一緒に無事です。 父親の命も助かりました。 どこでそれが解るかというと、 「いちの願意は期せずして貫徹した」というところで、 「いちの願意」とは、父親の命を助けることであり、 そのために、 自分や妹弟が父親の身代わりになろうとした訳です。 「期せずして」とは、 いちの考えとは違う形で（いちが思ってもみなかった形で）、という意味です。 「貫徹した」とは、父親の命が助かった、ということです。 つまり、 父親の命は助かり、いちや妹弟も身代わりなることもなかった、ということです。 現に、「桂屋の家族は、再び西奉行所に呼び出されて、父に別れを告げることが出来た」とあります。 「家族」の中には当然いちも含まれるでしょう。 ただ、 父親は、死刑は免れましたが、無罪放免ということではなくて、 「御構のうえ追放」という死刑よりも軽い刑に減刑されたということです。 具体的には、 自宅周辺（「大阪北、南組、天満」という地域）に住むことを禁じられるという刑を受けたわけで、 そのために、家族は「父と別れを告げることが出来た」とあるのです。