IDRフレームは、H.264/AVC になって従来のMPEGのIフレームの機能を拡張し たもので、Iフレームの1種と言えます。ただ Iフレームが廃止された訳ではない ので、両方使われています。両者の違いは P/BフレームがIフレームをまたいで もっと先のフレームを参照できるのに対し、IDRフレームをまたぐ事はできない という点にあります。しかし、IフレームとIDRフレームをきちんと区別して 扱っている事は少なく、両者をまとめてIフレームと表記している場合も多い ようです。x264のログも、IフレームとIDRフレームの合計を表示しています。 従来のMPEGでは、IフレームがGOPの境界となっていましたが、H.264/AVC ではIDRフレームがGOPの境界となるため、これをキーフレームと呼んでいます。 GOP単位での無劣化カット編集や、再生時のシークの基点などはIDRフレームで 行いますので、挿入頻度についてはIフレームよりも重要となります。 ただし、Iフレームの枚数はIDRフレーム同様、ファイルサイズに大きく影響 しますので、もちろん無視はできません。 x264のオプションで「キーフレーム間隔の下限/上限」は、IDRフレームの事 で、Iフレームの挿入頻度に関しては「シーンカット閾値」で調整します。 この値が大きいとシーンチェンジでIフレームが挿入されやすくなります。 0 にすると「キーフレーム間隔の上限」と同じなるため、全てIDRフレームに なります。一般に初期値の 40 から変更する必要はないと言われています。 アニメでは 60～75 くらいの設定にしている人もいるようです。 キーフレーム間隔の下限より短い間隔で場面転換があった場合はIフレームが 挿入される、と言う解説をよく見かけます。信頼性が高いと言われている MeWiki http://mewiki.project357.com/wiki/X264_Settings の「scenecut」の説明にも「最後のIDRフレームから --min-keyint より 短い間隔でシーンチェンジが検出された時は、Iフレームが挿入され、 それ以外の時は、IDRフレームが挿入される」と書いてあります。 しかし私の経験では --min-keyint より短い間隔でも IDRフレームが挿入 される場合があります。その結果、Iフレームはゼロで、全てIDRフレーム という場合も少なくないと思います。この辺りは、映像の内容や他の オプションとの関係によっても変わってくると思いますが、どういう事なのか 正直よく分かりません。 強制的に、指定フレームにIフレームを挿入する事は可能です。 これには --qpfile オプションを使います。 x264guiEx の場合は、拡張タブの追加コマンド欄に入力します。 http://blog.livedoor.jp/vxz62kb2/archives/4791190.html 大文字の「I」がIDRフレーム、小文字の「i」がIフレームです。 http://forum.doom9.org/archive/index.php/t-120449.html AviUtl は初期設定ではフレーム番号は1から始まりますが、こちらは 0から数えますので、1フレームずれる事に留意して下さい。 ところで、192秒15fps の動画でIフレームが193個になりますか？ 192×15＝2880フレームの動画で、I/IDRフレームが15フレーム間隔で 入っているとすると、192個になるはずです。 実際には 2881フレーム以上あるか、どこかで15フレームより短い間隔で I/IDRフレームが挿入されているのではないでしょうか？