プロテスタントの組合派（＝会衆派）の教会です。年譜に「合同組合教会」とあるのは、同じ組合派に属する教会同志が合同したということでしょう。ローラの両親は ミネソタ州南西部のウォルナット・グローブという町で、その教会設立の手伝いをして会員となり、ローラの姉メアリも会員になったのです。また、デ・スメットでも父親は大工として教会建設に関わり、一家はこの教会に通ったとされています。ローラ自身はブラウン牧師の司式で教会で結婚式を挙げていますが、洗礼を受けて正式なクリスチャンになったかどうかはわかりません。ちなみに、組合教会（＝組合派教会、会衆派教会）についてですが、英語のCongregational Churchの訳であり、キリストを中心に集まる会衆の教会という主旨です。イギリスの国教会から分離したグループ（分離派）によって形成されました。分離派の中には、メイフラワー号でアメリカに渡ったピルグリム・ファーザーズと呼ばれるグループと、イギリスに残ったピューリタンと呼ばれるグループがあります。インガルス一家は当然、ピルグリム・ファーザーズの流れを汲む組合教会に通ったのです。 組合教会は、ドイツの宗教改革によって生まれた改革派教会やルーテル教会と比べて組織的にも神学的にも開放的で自由な傾向を持ちます。しかしその自由さは日本の福音主義教会の形成においては弱みとなり、時代のイデオロギーの影響を強く受けることになります。ローラが４歳になった１８７１年、そのアメリカからジェーンズという教育者が日本の熊本の洋学校に赴任すべく来日しました。彼は南北戦争の時、陸軍の大尉であったといわれています。彼が日本の組合教会の基礎になる熊本バンドの生みの親ですが、彼の影響下で同志社に転じ組合教会の三元老の代表格になった海老名弾正は神道的キリスト教と呼ばれる国家主義的立場を標榜しました。第二次大戦後は組合教会は日本キリスト教団に合流しましたが、今度は一転して左翼イデオロギーの影響を受ける牧師を多く生み出してきました。教団内部では昔から「同志社には神学といえるものは無い」という声もあるように、日本の組合教会の伝統には信仰的・神学的基盤が軟弱で世俗の価値観に影響されやすいという特徴が識者から指摘されています。 参照ＵＲＬ（１）http://www13.ocn.ne.jp/~m-room/wilder-note.html （「ワイルダー年譜」） →＜1874年 8月23日 父さんと母さん、ウォルナット・グローブの合同組合教会設立の手伝いをし、会員となる。（中略）11月末 父さん、教会の鐘のために26ドル50セントを寄付する。12月20日晩 合同組合教会の新しい教会でクリスマス・パーティが開かれる。＞ ＜1875年2月 8歳 父さん、合同組合教会の管財人となる。＞ ＜1878年1月26日 11歳 父さんと母さん、ウォルナット・グローブの合同組合教会へ正式に復帰する。その後、メアリも教会員となる。＞ 参照ＵＲＬ（２）→http://www.ube-k.ac.jp/~yatsugi/LH-journey-wg.html （Walnut Grove） →トップページ→右上から２番目の＜「小さな家」ゆかりの地＞→＜サウス・ダコタ州、デ・スメット＞→＜私が2000年に、デ・スメットを訪れたときの話はこちらからどうぞ。＞の下線を引いた＜こちら＞→＜デ・スメット＞→上から４番目の写真の右側＜「組合派教会（Congregational Church）」 デ・スメットに初めて建てられた教会。「インガルスの家」の裏手にあります。とうさんは大工として建設に関与し、一家はこの教会に通ったのです。その後かなり増築されたとのことですが、とうさんが建てた部分も残っています。写真右手の大きな屋根のある一角です。「小さな家」シリーズ（ＮＢＣテレビの『大草原の小さな家』でも）の牧師さんと言えば、インガルス一家がウォールナット・グローブで出会ったオルデン牧師でしょう。オルデン牧師は一足先に、さらに西へと向かっていましたが、一家が冬を過ごしている「測量技師の家」を偶然訪れるのです（第23章）。一家はオルデン・牧師がデ・スメットの教会に着任するのを心待ちにしていましたが、ブラウン牧師が先に着任してしまいます。なお、ブラウン牧師の養女のエイダはローラの親友になります。 ＞