近代の日本の哲学者たちが構築した日本的な思想は、西洋の個人主義的な価値観とは異なり、共同体意識や伝統的な価値観を重視する点で、マイケル・サンデルのコミュニタリアン思想と通底する部分があると考えられます。 サンデルは、個人の自由や権利のみを重視する自由主義的な考え方に対して、人間は共同体の中で生きる存在であり、共同体の伝統や価値観から自己の存在意義を見出すべきだと主張しました。この点で、日本の伝統的な価値観である「和」の精神や、集団への同調性を重んじる考え方は、コミュニタリアン思想と親和性があります。 しかし一方で、日本の伝統的な価値観には、時に個人の自由が過度に制限されるおそれもあります。サンデルは共同体の価値観を尊重しつつも、個人の自由や権利も同時に重視すべきだと説きました。 したがって、現代の日本社会においては、日本的な思想から学ぶべき共同体意識と、西洋の個人主義的な価値観とのバランスを取ることが重要だと考えられます。近代の日本の哲学者たちの思想は、そのバランスを探る上で示唆に富む視点を提供してくれるでしょう。