はい、弟子の書いたものが残ってないと、よいことに気が付きましたね。 イエスにも弟子にも書く文化が無かったのです。それはユダヤの文化。 ユダヤの世界には書かれた律法と口伝律法があって、それらは同格。イエスのいなくなったあと弟子達はユダヤ教キリスト派の主導的教団を形成した。イエスの教えを直接受けたという権威で、教えはユダヤの伝統そしてイエスがしたのと同じように口伝で行っていたーーアラム語で。 それに対してパウロのようなアウトサイダーは一生懸命書いたーーギリシャ語で。さらにキリスト教がはっきり分かれてから…１世紀後期から…は様々なキリスト信仰の形が起きて、それらの集団は主張を戦わせるため書かざるを得ない環境になったーーグノーシス文書など多数のキリスト教文書が書かれた。 ちなみにユダヤ戦争(AD70)で弟子達の主導教団とともに口伝によるアラム語キリスト教派は消えて無くなった。 あまりに多くの文書ができて、その中から勝手に権威文書をきめる動きが出て来た。その主導権争いに決着をつけるために、新約聖書を決める必要が生じた。 いま現在、キリスト教といえば聖書を信仰するものだと思っている人がいるかもしれないが、新約聖書とは上のように本質的に争い要素を持つキリスト教だから膨大な文書がかかれ、その主導権争いから出来たものという事実を知れば、いかに胡散臭いものかがわかってくるかと思う。