日本の医学部の合格定員数が同学年人口の0.85%くらい。アメリカのメディカルスクール(大学院のみ)の定員が同0.7%くらい。若干アメリカの方が厳しいですが、大きな違いとは言えないでしょう。
現在の日本では、優秀な学生が医学部に集中しすぎて、他の産業に優秀な人材をあまり回せていないとする批判があります。実は、アメリカでも同様です。優秀なアメリカ人学生がメディカルスクールに集中しています。それも当然、公式統計によると、医師の年収の中央値が年間約25万ドル(4000万円弱)もあるからです。アメリカの平凡な勤務医が日本の開業医レベルで稼いでいます。
では、なぜアメリカの大学院はコンピュータ系や理工系でも世界のトップでいられるのか?それは世界中から優秀な人材を集めているからです。半数以上が留学生という大学院理工系学科が多いのです。一方で、メディカルスクールはほとんどアメリカ人ばかりです。留学生を受けいれいるところが一部しかなく、定員もごく少人数です。しかも、アメリカまたはカナダの学部を卒業しないと資格がありません。
アメリカ人同士のみの争いとはいえ、競争は熾烈です。4年制学部卒業後メディカルスクールに入るためには、4年制学部の専攻は実はなんでもいいのですが、メディカルスクールが要求する科目(数学、生物学、生化学、物理学など)を好成績で履修している必要があり、これを行う学生をpre-medと呼んでいます。この将来、メディカルスクール入学を希望しているpre-medの大学生のうち、最終的に実際にメディカルスクールに合格するのは6人に1人です。要するに18才の時点で医師になる!と決めた人のうち6人に1人しか医師になれません。6人中3人は学部中にCなどを取ってしまい諦めます。残った3人のうち、1人は卒業後メディカルスクール受験を諦めます。残った2人が受験しますが、合格するのは1人です。もちろん、この率は大学によっても異なります。Harvardなどの超トップスクールでは残った2人のうち1.8人が合格しますが、州立のトップUCLAでも2人に1人程度。2流以下の大学では、メディカルスクール合格者はごく少数しかいません。つまり、まず一流大学に入るための競争に勝ち、一流大学内で優秀なライバル達に勝たなければメディカルスクールに入れません。
ちなみに学費は一部の例外を除き、日本の川崎医科大学みたいな金額で、一部の超富裕層以外は借金をします。メディカルスクールの方で学生ローン取得をアシストしてくれ、ほとんどの学生が満額借りられます。なにせ、メディカルスクール合格者というだけで、銀行が喜んでお金を貸してくれるからです。入学者の95%は最終的に医師になり、あっさり返済してしまいます。
ご質問は「難易度を日本の受験に置き換えて説明」と、ありますので、私の印象では「ざっくり言って日本の国公立医学部合格」程度かな、と回答します。日本の一部の私学の医学部のように「金さえあればわりと入りやすい」学校はありません。