古典力学の『一般相対性理論の単純な計算のみ』で考えると、銀河の中心にあるような『超大質量ブラックホール』に入る場合には、潮汐力は小さいために、引き裂かれずにブラックホール内部に入れると考えられています。一方で、一般的な『恒星質量ブラックホール』の場合は、潮汐力により人間は引き伸ばされてしまいますので、生存したまま、ブラックホールに入ることはできないとされています。
多く方々はその二つの事象のどちらか、あるいは両方について、お話しされているんだと思います。
ところが、ブラックホールはそんな甘っちょろいものではなく、ほとんどのブラックホールの周辺には超高速で回転する降着円盤があり、そもそもブラックホールに近づくこと自体が簡単ではありません。人間なんかその降着円盤の荷電粒子の圧力や極めて強いX線によって原子レベルまで分解されます。
仮に、『理想ブラックホール』のような、降着円盤も回転もしていないブラックホールがあったとしても、現代物理学の『量子論』あるいは『素粒子論』を考えると、ブラックホールの境目である『シュバルツシルト半径』のところで、すべての原子は素粒子に分解されます。ブラックホールが持つものは、『質量』、『電荷』、『角運動量』しか維持できないためです。
そのため、結論は、いかなるブラックホールであっても、生存したまま人がブラックホールに入ることはできない、ということになります。