30年前に理学修士(数学)を取得した者です。
はっきり言いますが、時代が変わったのですよ。
40~50年前は、同窓者名簿(旧帝大)を見れば一目瞭然ですが、ほとんどの博士号取得者が大学教授になっておられます。しかし、その人数は少なく、大学院入学時ですら2~3名ほどでした。しかも、修士に入学した人はほとんど博士号を取得され、大学のポストが十分にあったため、みんな助手になり、教授になっていったのです。その当時の人と話をすれば、「大学院=研究をする場所」であり、その少数精鋭で育った人たちはみんな超優秀です。名誉教授になられている方も多いです。ですから、そういう世代の方と話をすれば、平行線になるのは当然の帰結です。
現在は、昔の大学のレベル≒今の大学院レベルといった感覚です。
ですから、大学が勉強をしに行く場所といったイメージをお持ちなら、今の大学院がそれにあたります。
実は、1990年代後半から「大学院拡充計画」が進んでおり、大学院の定員数を大幅に増やしており、それによって、大学院生の質も大幅に落ちています。当たり前のことなのですよ。研究は「0から新しいこと」をやっておられた方も昔は少なくなかったのです。私の大学院の担当教授である坂内英一氏(数学者。代数学賞を受賞。代数的組合せ論の理論を0から作り上げた本人。世界の第一人者であり、世界的権威。)もその一人でした。家族4人がすべて東大卒の数学者の一家です。そういった人と話をしたら、平行線になることはまちがいないです。