日本人にとって英語は最も身近な外国語であり、多くの人が学習しますが、その語順の違いは大きなハードルの一つです。特に、英文を読む際に日本語の語順に引きずられると、正しく理解するのが難しくなります。 ところで、現代では 英語は全ての日本人にとって 初めての、そして、半数強の人にとっては 唯一の外国語ですが、江戸時代は外国語と言えばオランダ語が主流だったのは みなさんご存知かと思います。 それで、福沢諭吉は江戸時代にオランダ語を学び、明治になって 英語に乗り換えた文化人としても有名ですね。 当時はパソコンやネットはおろか、カセットレコーダーのような音響機器すら存在せず、英語を覚えるのにも現代とは比べ物にならないくらい不便な時代でした。しかし、それでも、諭吉は英語の前にオランダ語を学んでいて、オランダ語は英語に最も近い言語ということもあって、英語に対する抵抗も少なく、これは 私たちが逆立ちしても享受することのできない大きなアドバンテージだったはずです。そして、最初のうちは オランダ語の知識を駆使したと思われます。そこで、とあるサイト(https://makki-english.moo.jp/6NewspaperBlogJapaneseGrammar.html )から英文を借りました。 お得意のスラッシュリーディングで解読しています。 "As it’s one of the first words/ most students learn,// it can be surprising/ to discover/ just how tricky all the uses of こと in Japanese/ actually are. While it’s in most beginner’s textbooks, //this critical particle will also be waiting for them/ when they reach the intermediate- to advanced-level Japanese, too!" でも、福沢諭吉だったら、日本語よりも 次のように オランダ語に訳した方が す~ぅっと読めたかと思います。 "Omdat het een van de eerste woorden is/ die de meeste studenten leren,// kan het verrassend zijn/ om te ontdekken/ hoe ingewikkeld alle gebruiken van こと in het Japans/ eigenlijk zijn. Hoewel het in de meeste leerboeken voor beginners staat,// zal dit cruciale partikel op hen wachten/ wanneer ze het midden- tot gevorderde niveau Japans bereiken, ook!" ところが、明治になると オランダ語は急激に下火になり、代わって 英語が最初の外国語として学ばれるようになりました。そうすると、諭吉の手法は使えませんから、和訳するしかありません。 「それは最初の言葉のひとつであるので/ほとんどの生徒が学ぶ//(次のことは)驚くべきことです/(次のことを)発見することは/日本語の「こと」の使い方がどれだけ難しいかを(発見することが)。 それは、ほとんどの初心者のテキストにあり(→載っていて)//この重大な接尾辞(=「こと」)は彼ら(=生徒達)を待っている/中級から上級レベルの日本語に到達した時にも。」 当然のことですが、英語と日本語では語順がまるっきり違います。それで、↑のサイトの主は 苦し紛れに、「次のこと」を挿入していますが、それが却って分かりにくくしています。特に、最初の「次のこと」は 「驚くべきこと」をほとんどの生徒が学ぶのか 一瞬 首を傾げたりします。おまけに、critical particleの解釈も間違っています。 そこで質問ですが、英語と日本語の語順の違いによる学習の難しさを考えたとき、日本人が英語を学ぶ際に、何らかの「橋渡し」となる言語や学習方法があるとすれば、それはどのようなものが考えられるでしょうか? また、英語を学ぶ上で、日本語の語順の影響をできるだけ減らし、よりスムーズに習得するための工夫にはどのようなものがあるでしょうか?
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