自分が悪いと言うところに原因を求めているところに、あなたの生真面目さと優しさを感じます。 心の奥底に「通知表の数字しか見ないんではなしに、数字では表れない他でもない自分自身を見て欲しい」とか「塾なんかに行きたくないのに行かされている自分の気持ちをわかって欲しい」というような感情はありませんか？ そういう感情が向く先は、まれには教師や親類縁者ということもあるのでしょうが、まあ99％以上は親ですよ。 世の中にはいるんですよ。 何かの習い事などを子供が「やりたい」と言い出すときは往々にして親がやらせたいと思っており、子供は子供であるからこその直感の鋭さで「これをやりたいと言えば親に褒めてもらえる」と察知して「やりたい」と言っているということすら理解していない親が。 困ったことに、社会的ステータスが高い親ほど「やりたい」と言っている子供を「さすが私の子」と自己満足に浸る傾向が高いです。子供という鏡に慢心している自分が映っているだけであり、要するに自分が気持ちよくなるためだけに子供を利用しているに過ぎないのです。 そういう親の事情を子供なりに察知して子供は努力するのですが、子供には子供の能力があります。親が気持ちよくなれるだけの成績を上げられないことだって多いでしょう。 もしそうなったら、悲劇の始まりです。 中学生ということですから『暗●教室』というヒット漫画があったのはご存知かと思います（●の部分を漢字で書いたらどうやら知恵袋のNGワードに引っかかるようなので伏字にしています）。 あの漫画の主人公の渚くんというのがいますが、あのお母さんが「子供という鏡で自分がいい気持ちになる」という行為をする典型のような母親です。 渚くんのお母さんは渚くんに「蛍雪大学」というところに行けと勧めていますよね。あれの元ネタは慶應大学だと思うんですが、実際慶應の学生やOB、それに志願者も、自分が気持ちよくなるためだけに勉強する、自分が気持ちよくなるためだけに子供に勉強をさせる、そういう傾向が強いように思います。 ですから、目の前にニンジンを吊ってやらないと走らない馬です。社会的ステータスが上がるという実益がないと勉強しませんし、社会的ステータスが高い集団にいないと勉強はできないと本気で信じています。 ですから、学ぶことそのものが学びの理由という人間の存在が理解できないようです。 あの漫画では、渚くんのお母さんは「息子は私ではない」という事実を知っただけで改心しました。ですから渚くんも家事の手伝いなどを条件に「E組で続ける」ということをお願いしただけで事が収まりましたが、本物の慶應サイコはあんな生やさしいもんじゃありませんよ。慶應という学歴ができた時点でそこそこ良い就職先が約束されたようなものですから、それ以上の成長をしようとしません。「我こそは慶應大学出身者である！控えい！」と言えば世の中の人間は土下座するもんだと本気で思ってます。一生それで生きていくんです。自分は最高の人間になったのだから、子供にも自分のようであれというのを明示黙示に圧力をかけます。 「過去を自慢するものは成長が止まった証拠」という素晴らしい言葉があるのですが、おそらく彼らには全く理解できないのでしょうね。 関係の薄い話がいささか長くなりましたが、無意識のうちにも親の圧力を理由に勉強していた子がそれ以上の頑張りがきかなくなったとき、親と子供がぶつかるか、あるいはありがちなパターンですが子供が全くの無気力状態に陥ります。 そもそもあなたはいま中学生でしょう？親の何もかもが気に入らずしょっちゅう親とぶつかっていてもおかしくない歳ですよ。でもあなたは親と同じように優秀にはなれない自分に悩んでいる。 第2次反抗期が正常に起こっていないんです。そういう子はむしろ怖いんですよ。正式な用語ではありませんがある精神科医は第3次反抗期と呼んでいる現象が増えているということを言っています。 発症するのは20歳代後半から40歳代までと幅広く、多くの場合「自分の青春が親のせいで潰された」という考えを持ちます。 そういう年齢になっていますので、身体的には親より子供の方がはるかに強いです。ですのでしばしば親に対する子の暴力というものを伴います。また、自分が働けないのは親のせいなのだから面倒を見ろということで高齢の親にお金を無心し続けるという現象もしばしば見られます。 かなりの確率でバッドエンドを迎えるというのはおわかりになるんではないかと思います。 あなたが勉強する気になれないのは、ひとつには無意識のうちで親の教育方針に納得がいかないものを感じている、ふたつには自分は努力しても親のようにはなれないことを自分で薄々感じているという事情があるのではないかと思います。 自分が悪いと言うことをひとつカッコに括って、なぜ自分がやる気になれないのか、外的要因を探してみましょう。 第3次反抗期というものは、繰り返しになりますがバッドエンドになりやすいんです。親御さんもまだ体力があるうちに第2次反抗期をやっておかないと、後々怖いことになるのではないかと危惧します。