いいえ。ヨリトフグは猛毒のフグではありません。 フグといえば猛毒のテドロドキシンが有名ですが、それはクサフグや トラフグなどの話であり、ヨリトフグは比較的毒性が弱いフグです。 むしろ、元々ヨリトフグは全身無毒のフグとして知られていました。 ヨリトフグは体長40cmほどの中型のフグです。体は円滑でトゲは無く、 世界中の暖かい海の深いところに住んでいます。日本では、本州の 中部以南に生息しています。トラフグなどに比べて味は劣るものの、 値段は手頃で、筋肉だけでなく皮や白子も食べられます。また、地域 によっては、カワフグ、デデフグ、ミズフグ、チョウチンフグなどの 別名で呼ばれています。 先述したように、長年にわたって全く無毒のフグとされてきましたが、 近年の研究では、ヨリトフグ6匹のうち1匹の肝臓から、マウスが死亡 する程度の毒が検出されたことが明らかになっています。 とはいえ、今のところ人間が死亡した例はありませんし、いくつかの 地域では昔から肝臓ごと食べる習慣がありました。2018年1月には、 とあるスーパーで肝臓入りのヨリトフグが5パック販売されたという 事件があり、2パックがまだ未回収らしいですが、健康被害の報告は ないそうです。 以上により、ヨリトフグは少なくとも「猛毒のフグ」ではないことは 確かです。しかし、あらゆるフグの肝臓の販売・提供は食品衛生法で 禁止されているという背景もありますので、たとえヨリトフグといえど 肝臓は食べない方がいいかと思います。