少し解釈に誤りがあるようですね。 「イギリスの大型輸入店が、 ムーブメントやダイアルに 自社の名称に限って入れることを許し、 デザイナーや製造者、 卸売業者には社名を入れることが 許されていなかったのである」 とあるように 【イギリス国籍のハンス・ウィルスドルフを 良く思わなかったエグラー社は デザイナーや製造者の名前を 文字盤に入れることが許されなかった】 のではなく、イギリスの大型輸入店 （つまりウイルスドルフ＆デイビス社と 同業者）が、製品発注者の社名を 時計製品に刻むことを許可しない 風潮があったということです。 製造者はエグラー社ですから 当然と言えば当然ですよね。 ほぼ、時を同じくして フランスとスイスの関係性で 対照的な例があります。 カルティエがサントスを製造した時も ムーブメントはルクルト製でしたが 当時のウイルスドルフ＆デイビス社 とは違い カルティエは既にジュエラーとして 十分な地位を築いていて、 時計本体の製造は カルティエ社の手によるものだったため 容易に自社のロゴを製品に刻印することが できたわけです。 むしろそれは 当たり前だったと言ってもいいでしょう。 また、イギリスとフランスとでは 風土の違いもあったと思われます。 当時のウイルスドルフ＆デイビス社は あくまで今日のような腕時計製造者ではなく 発注者であり企画者だったわけです。 オイスターケースにしても オイスター社の発明ですから 後のロレックスがオイスター社を 傘下に収めたからこそ、 現在では、ロレックスの発明、 ということになっています。 リンク内の最新の画像がそうであるように 当時のイギリスにはまだ、 腕時計製品に 企画者や販売者のロゴを刻印する 風潮がなかったと考えた方が 自然ではないでしょうか。 そのことに逸早く異議を唱えたのが ハンス・ウィルスドルフだったわけです。