英語では、国名を形容詞化できる場合は形容詞を使って「British Empire」「German Empire」「Russian Empire」のように表現することが多いです。一方で、形容詞形がない(あるいは定着していない)国名については、所有や所属を示す “of” を用いる慣習があります。たとえば、
• Empire of Japan(大日本帝国)
• Empire of Brazil(ブラジル帝国)
• Republic of China(中華民国)
• Republic of Korea(大韓民国)
などです。
形容詞として使いやすい国名・使いにくい国名
• Britain(イギリス) → British という形容詞が一般的に定着している。
• Germany(ドイツ) → German
• Russia(ロシア) → Russian
• Japan(日本) → 形容詞は Japanese ですが、歴史的に「Empire of Japan」の方が正式名称として使われてきた。
このように、国名をそのまま形容詞化して意味が通る場合は 形容詞 + Empire という表現を作れますが、そうならなかったり、歴史的・慣習的に “of” を使う呼び方で固定されている場合は Empire of + 国名 となります。
歴史的・公式名称の影響
「大日本帝国」の正式英訳として Empire of Japan が使われてきたのは、明治期以降の公文書などで「帝国憲法」(the Constitution of the Empire of Japan) と書かれていたことも大きいです。また、他の例を見ると、
• Empire of Brazil はポルトガルから独立した際の正式名称 “Império do Brasil” の英訳形が “Empire of Brazil” として定着した。
• Republic of China や Republic of Korea も、独立や国号制定の際に “of” を使った正式英訳を採用している。
つまり、歴史的・公的な文脈で正式名称を翻訳する際に “of” を使うか、形容詞形を使うか、という慣習が確立してしまい、現在でもそのまま使われるケースが多いのです。
まとめ
1. 形容詞形が定着している国名 → “British Empire” や “German Empire” のように 形容詞 + Empire となることが多い。
2. 形容詞形が使われにくい/歴史的に “of” を使うのが正式名称 → “Empire of Japan”、“Empire of Brazil”、“Republic of China” のように of + 国名 となる。
要するに、「なぜ “of” がつくのか?」という疑問に対しては、「英語では慣習として、形容詞形を使わず国名そのものを用いるとき、所属(〜の国)を表すために “of” を使う」こと、そして「歴史的・公的な正式名称としてそう翻訳・定着した」ということが大きな理由です。