おそらく、無いでしょうね。
大腿骨頭置換術(BHA)でも人工股関節置換術(THA)でも患者の筋力等の問題から施術した側を長くすることはよくあり得ます。
人工股関節の部分を長くすると、周囲の筋肉や関節包が突っ張り安定したり、大腿骨と骨盤の骨がぶつかりにくくなります(FAI防止)。
股関節が不安定になりやすい場合は脱臼しないために足を延ばす必要があるのです。
一般的に1~2cm程度は術後のリハビリで解消すると言われています。
脚長差は、実測で実際に差がある「構造的脚長差」と、
実測では揃っているのに差を感じる「機能的脚長差」に分類されます。
患者が主観的に訴えるこの2種類の脚長差を「自覚的脚長差」(perceivedleglengthdiscrepanc y:PLLD)と呼びます。
THA後におけるPLLDの発生率については20~60%程度といわれていて、術後経時的に減少していくことが知られていいます。
一方で術後1年が経過しても約10%にPLLDが残存することもあると。
機能的脚長差は術前キャリアが長く・脚長差が大きいほど、体が跛行癖を解消しずらく、そのため軟部組織の拘縮・筋力回復が改善されなければ解消に月日を要すことになります。
私は先天性股関節脱臼からの二次性変形性股関節症による骨切り術(16歳右)・人工股関節置換術(THA:4年前65歳右・半年後左)の経験者です。
10歳から股関節痛・跛行で、THA術前の脚長差は3.5cm。
手術で脚長差は実測で揃いましたが1cmほど悪かった右脚のかかとが浮く感覚がありました。
術後のリハビリ散歩でもなかなか跛行が解消されず(跛行歴55年間)、筋肉の柔軟性を取り戻すべく自分で色々とやった結果、3年半を要しましたが跛行は解消しました。
故に、術後脚長差は必ずしも「失敗」ではなく、やるべきことが分って自己対処すれば解消されるものが多い・むしろ殆どかと思いますよ。