万年筆の書き味は、色んな方向にベクトルがあり、ニブによってかなり違います。ボールペンやシャーペンとは比較にならないくらい。 種類... この種類はこう、と言えるほど分かり易くないかと。 ・メーカーの思想 ・製品のコンセプト ・価格帯 ・ニブの材質 ・ニブのサイズや形状 ・ペンポイントの形状 ・ペンポイントの摩擦の作り方 ・時代(当時の流行や用途) などで変わります。 国内大手3社の万年筆にしても、それぞれ理想としている文字や筆記感が違います。 例えば、極細(EF)一つとっても・・・ ・縦横斜めで線幅が同じ or 異なる (書き方にもよる) ・筆圧の加減で線幅が変化する or しない 変化するなら → 急に太くなる or 緩やかに変化する → 変化の程度は何倍くらいか？ ・ハネやハライの先端の尖り具合 (インクのキレ) ・トメた時に、インクが出続ける or 止まる ・濃淡の出方や滲み具合 などの要素で、書いた文字の雰囲気自体が変わります。 特に極細は、軽く書くと赤ちゃんの髪の毛のような極細の線が書けるものもあり、少し筆圧を加えたときの字幅からの倍率が大きく変わるため、文字の印象も大きめに変わります。 細字が好みか太字か好みかは、万年筆を楽しんでいるうちに変化する可能性がありますから、今この時は細字好きってだけ。 5年後に太字が好きになって、そのまた5年後にやっぱり細字好みに戻るとか、よくあることです。 書き心地もメーカーやモデルによって異なり、 例えば、パイロットの滑らかさは、ガラス棒を滑らすようなツルツルとした書き心地です。 一方、セーラーは「鉛筆のような」適度な筆記感のある書き心地です。(紙に引っ掛かるという意味ではない) で、自分らしさが表現された理想の文字を追い求めたり、用途や場面で使い分けたりで、万年筆が増えていく・・・というパターンに嵌まる人が多いわけですね。 ■海外メーカーで知っておかないといけないのは、『ニブを作れる会社は多くない』ってこと。 A社とB社の万年筆を買ったのに、デザインが違うだけで、ニブは同じってことが良くあります。 最終仕上げはメーカーでやることが多いので、微妙には違いますが。 あと、メーカーが『どんな人を対象にしているか？』も注目すべきポイント。 万年筆に詳しくない一般人が手に取るモデルは、多少強めの筆圧で書いても壊れないよう、多くの人が好む書き味を目指すので、似通った書き味になる傾向があります。 Custom74も、入門者が初めて手に取る万年筆という位置づけで、強い特徴を敢えて持たせていない(普通の、標準的な)万年筆です。 特徴的な・・・長所がある万年筆は、短所もまたありますので。 万年筆に詳しくない人が敬遠するようなモデルに、特徴的な書き味のものが多いです。