梅棹忠夫の思想は、西田幾多郎の「絶対無」の概念から大きな影響を受けたと考えられます。 ・西田は「絶対無」を万物の根源とし、有と無が渾然一体となった絶対矛盾的自己同一の場として捉えました。梅棹もこの「絶対無」の思想に共鳴し、自らの「無の思想」の基盤としました。 ・しかし梅棹は、西田の「絶対無」が依然として「有」の立場に立っていると批判し、より徹底した「無」の立場を主張しました。梅棹は「無の現実化」を目指し、人間存在の根源的な無性を追求しました。 ・梅棹は京都学派の影響を受けつつも、独自の「無の思想」を築き上げました。西田の「絶対無」を出発点としながらも、より徹底した「無」の哲学を追求した点が特徴的です。 ・このように梅棹の思想は、西田哲学の「絶対無」の概念に大きく依拠しつつ、それを批判的に発展させた独自の「無の思想」であると言えます。京都学派の伝統の中で、梅棹は「無」の徹底化を図った哲学者だと評価できるでしょう。