被害額1500億円という数字についてはその計算基準が明確に公表されていないためアクセス数だけを基にして算出されている可能性があります。
これにはGoogleなどのクローラ(bot)によるアクセスも含まれる場合があり実際の購買機会の損失を正確に反映しているとは言い切れません。また「被害額」という名称であってもそれが「漫画の購入に充てられるはずだった金額」かどうかは別問題です。
さらに、「悪意を持って読んでいる人間を取り締まれない」との点についても法律的な制約があります。具体的にはアクセス目的を区別すること(数秒間のアクセスと意図的な閲覧目的のアクセス)をシステム的または法的に証明することは非常に困難です。このため、単に「悪意があるかもしれない」という推測だけでは法的責任を問うことはできません。
「公共の福祉」を持ち出して閲覧者を逮捕すべきという提案については、現在の法律の枠組みでは実現不可能です。無断閲覧者に対して刑事罰を課すには、明確な法律の改正が必要です。しかしそれによる影響は単に「閲覧者を取り締まれるようにする」だけでなくプライバシーや表現の自由の制約につながるので慎重な議論が求められます。
最後に、「電車に乗り合わせた人が閲覧していた場合、私人逮捕はできるか」という質問についてですが、まず画面を無断で覗き込む行為自体が他人のプライバシーを侵害する可能性があります。そのうえで私人逮捕が適用されるのは現行犯の重大な犯罪の場合であり、違法サイトの閲覧はこれに該当しません。したがってこのような状況で私人逮捕を行うのは法律上認められませんし、不適切な行為といえます。