そうですね。その通りだと思います。
鉄平の日記に書いていなければ、玲央はその事を知っている筈がないです。
いづみも、鉄平の日記を読む事で百合子の被爆を知ったと思います。
ただ、『朝子のせい』というのは百合子の思い込みなので、責任の所在を
追求する内容ではないと思います。
第4話、8月9日に寿美子、千鶴、百合子の三人が浦上天主堂に出かける際の
様子が描かれていて、それに鉄平のモノローグ(独白)が被せてあります。
「ちょっとした小さな子供のいたずら・・・・・・」から始まり、
「もし朝子が●●●●だとしたら、百合子に違う未来はあったのだろうか?」
という感じのモノローグだったと思いますが、日記もほぼこの通りなのでは
ないかと思います。
ただ、百合子が自分(いづみ)に対して意地の悪い発言が多かった理由を、
いづみは鉄平の日記で初めて知ったのだと思います。
朝子が百合子の被爆を知らなかったと考える理由を補足します。
第4話、中ノ島から煙が上がっているの見た朝子は
「誰かなくなったと?」と鉄平に訊きます。
鉄平は「鉱員のお母さん。」だと嘘をつきます。
もし朝子が百合子の被爆を知っていたら、嘘をつく必要があるでしょうか?
百合子の母が亡くなったことを朝子が知ったとしても、「被爆が原因で
白血病になって・・・」と朝子に言えます。
でも朝子が百合子たちの被爆を知らなければ、鉄平や賢将は朝子にそれを
言えないのです。言えないけれど、当然朝子は
「百合子のお母さん、なんで亡くなったと?」と訊くでしょうね。
事実を話してしまうと、最悪の場合、朝子は自分の行動(1945年8月9日、
教会に行きたくない百合子が寿美子と千鶴から隠れているのを邪魔したこと)
に罪の意識を感じるようになるのではないか? と鉄平は考えたのだと思い
ます。朝子には当時の記憶が全くないのか、それとも百合子たちが長崎に
行った事と原爆の投下が結びついていないだけのことか?
それは分りません。
鉄平は常に最悪を想定して動く、慎重な考えの持ち主です。
端島を出てから逃亡を続ける間、賢将にもリナにも「俺の話しはするな」と
口止めしていました。