「世界中の誰よりきっと」は1992年10月28日リリースでした。
CDバブルが頂点を迎えたのは1998年頃ですから、CDバブルに向かい始めた頃の作品ということになります。
1980年代末はアイドルブームが終息に向かっていた頃でしたが、中山美穂さんは1990年代になって、一線で活躍するアーティストから楽曲提供を受けることが多くなっていきました。
この曲も、頭角を現していたビーイングとコラボすることで一種のカンフル剤にする狙いがあったのではないかと思います。(当初はB'zとの共作という意向だったという説もあるが、結果的に新人だったWANDSに御鉢が回ったらしい)
で、200万枚レベルの大ヒットにつながった要因を考えてみると…
★タイアップの良さ
中山美穂さん自身が主演を務めたフジテレビ系ドラマ『誰かが彼女を愛してる』の主題歌。トレンディドラマ全盛期にあって視聴率女王の呼び声が高かった中山美穂さんが主演&主題歌を担当したので、そもそも「普通にヒット」する見込みは固かった。
★ビーイング王道のメロディ&サウンドメイキング
作曲:織田哲郎さんと編曲:葉山たけしさんというビーイング主力作家によるメロディ&サウンドメイキングは完成度が高く、10~12月期ドラマに相応しいポップで煌びやかな雰囲気をまとっていた。
★「未知の存在・WANDS」という新風
当時のWANDSはまだ3rd.Sg「もっと強く抱きしめたなら」でようやく好タイアップに恵まれ、前2作を上回る初登場47位を記録した頃。まだまだ「知る人ぞ知る存在」だったので、「世界中の~」で初めて彼らを知ったというリスナーが多く、そのクールでスタイリッシュな佇まいから徐々に注目が集まっていった。
WANDSの方が知名度を高められた恩恵は大きかったが、中山美穂さん側としても「一緒にいるWANDSって誰?」という未知の要素で興味を引くことができた影響は小さくなかったものと思われる。