回答受付終了まであと7日
高校までの内容の社会人向け講座はどうですか?あったほうが良いと思いますか?
高校までの内容の社会人向け講座はどうですか?あったほうが良いと思いますか? 元外務省主任分析官の佐藤優は「読書の技法」(東洋経済新報社)の本で「ここで提案がある。ビジネスパーソンの教育に熱心な出版社が、大学受験予備校と提携して、社会人用の講座を作ることだ。大学院の社会人コースとは異なり、高校レベルの知識に徹することが重要だ。 数学に関しては偏微分と重積分の基礎は、経済現象を読み解くためにやっておいたほうがいい。経済にあまり関心がない人でも、国際情勢の変化や人間の癖を読み解くためにも微分法の考え方は役立つ。だから数学に関しては、高等専門学校(高専)の教科書をマスターすることを目標にしたほうがいい。 最大でも10人の少人数指導で、教師が受講生の理解度に応じて適宜宿題を出せば、半年から1年で高校レベルの知識に関する不安が解消する。そういう勉強にカネを費やしても、絶対に無駄にならない。 筆者は、数学、英語、古文、漢文、世界史、日本史、政治・経済、倫理・社会、現代社会、生物、地学の高校教科書を購入し、通読してみた。 いずれもよくできた作りで、中学生の学力があれば理解できる記述になっている。ただし、教師が教えることを想定して作られているので、説明を割愛している箇所が多い。しかも15~18歳を対象に書かれているので、社会人が実務に役立てるという視座がほとんどない。記述が退屈なために、忍耐力のないビジネスパーソンは、教科書を読了できないかもしれない。 この退屈さの壁を突破するためには、数学や英語の専門家が高校教科書の内容を社会人向けに書き直す必要がある。出版不況の中で、読者は実用性、功利性を求める。それゆえに、高校レベルの学力に照準を合わせた大人向けの書籍は有望なマーケットだと筆者は思う。 ときどき読者から、「あなたも作家で、大学で教鞭をとっていたこともあるのだから書いたらどうだ」という提案を受けるが、それは筆者の能力を超えるので断っている。知識を習得していることと、それを他者に伝達可能な形で伝えることの間には大きなギャップがあるからだ。 少なくとも、教育現場で教養に関する知識を伝達する経験(官僚をやりながら大学で専門科目の講義をするのは、このような経験には含まれない)のない人によい教科書を書くことはできないと考える。」と述べていました。(208ページ~210ページ)