● (32/ 10 - 32/ 10^3/3 + 32/ 10^5/5 - ‥) +
(- 16/515 + 16/515^3/3 - 16/515^5/5 + ‥) +
(- 4 /239 + 4 /239^3/3 - 4 /239^5/5 + ‥) 。
これが、計算が楽な割には収束が速い計算方法です。
足し引きを交互に繰り返す3つの塊のうち、32/10^n/n の塊だけ、
誤差が、他の2つの塊と同じ程度になるようにするために
沢山の項を足し引きしないといけないのですが、
この厄介な塊が、10^n で割るときは小数点をずらすだけでいいから、
実質的に必要な割り算が 3、5、7、‥ で割る割り算だけで済むのです。
どれくらい収束が速いか示すと、
●(32/10-32/10^3/3+32/10^5/5-32/10^7/7+32/10^9/9-32/10^11/11)+
(- 16/515 + 16/515^3/3 - 16/515^5/5) +
(- 4 /239 + 4 /239^3/3 - 4 /239^5/5) 。
程度の項の数で、
3.141592653589549‥ になります。本当の値が
3.141592653589793‥ ですから、小数点以下12桁まで合ってます。
■ この式でπが求められる理由を説明すると、
A、B、C が、
tanA = 1/10、tanB = 1/515、tanC = 1/239 を満たす、
0<A<1/10、0<B<1/515、0<C<1/239 という範囲の数だとすると
tan(8A-4B-C) = 1 (理由は後述)だから、
8A-4B-C = π/4 、なので、
32A-16B-4C = π 。
0≦θ≦π/4 のとき、tanθ=x となる θ は、
x - x^3/3 + x^5/5 - ‥ だから(理由は後述)、
32A= 32/10 - 32/10^3/3 + 32/10^5/5 - ‥ 、
16B= 16/515 - 16/515^3/3 + 16/515^5/5 - ‥ 、
4C = 4 /239 - 4 /239^3/3 + 4 /239^5/5 - ‥ 。
π = 32A-16B-4C だから、
π
= (32/ 10 - 32/ 10^3/3 + 32/ 10^5/5 - ‥) +
(- 16/515 + 16/515^3/3 - 16/515^5/5 + ‥) +
(- 4 /239 + 4 /239^3/3 - 4 /239^5/5 + ‥) 。
それが理由です。
■ tanA = 1/10、tanB = 1/515、tanC = 1/239 のとき、
tan(8A-4B-C) = 1 と言える理由は、
tan(2A) = 2(1/10)/(1 - (1/10)^2) = 20/99 、
tan(2A - B) = (20/99 - 1/515)/(1 + (20/99)(1/515)) = 1/5 、
tan(4A - 2B) = 2(1/5)/(1 - (1/5)^2) = 5/12 、
tan(8A - 4B) = 2(5/12)/(1 - (5/12)^2) = 120/119 、
tan(8A-4B-C) = (120/119 - 1/239)/(1 + (120/119)(1/239))
= (120*239 - 119)/(119*239 + 120)
= (120*239 - 119)/(120*239 - 239 + 120) = 1
だからです。
■ 0≦θ≦π/4 のとき、tanθ=x となる θ が、
x - x^3/3 + x^5/5 - ‥ 、と言える理由は...
f(θ) = θ - (tanθ - (tanθ)^3/3 + (tanθ)^5/5 - ‥) とすると
f'(θ)
= 1 - (1 - (tanθ)^2 + (tanθ)^4 - ‥)(1/(cosθ)^2)
= 1 - (1/{1 - (-(tanθ)^2)})(1/(cosθ)^2) (∵公比 -(tanθ)^2 の無限級数)
= 1 - (1/{1 + (tanθ)^2})(1/(cosθ)^2)
= 1 - 1
= 0 。
f(0)=0 、かつ、0≦θ≦π/4 のとき f'(θ)=0 だから、
0≦θ≦π/4 のとき f(θ)=0 なので、
θ - (tanθ - (tanθ)^3/3 + (tanθ)^5/5 - ‥) = 0 、すなわち、
θ = tanθ - (tanθ)^3/3 + (tanθ)^5/5 - ‥ 。
tanθ を x と表すと、
θ = x - x^3/3 + x^5/5 - ‥ 。
それが理由です。