私は無罪と考えます。 確かに疑わしいとは思いますが、疑わしいの域を出ないものであり、疑わしきは被告人の利益に、ということで上記の判断をしました。 理由を簡潔に記述します（ちょっと長いですが）。 ①タバコの吸い殻について 携帯灰皿をAへ渡しその中にXの吸い殻も入っているということと、各銘柄に関する事実は各証拠・証言と照らし合わせて不合理な点はないから、タバコに関してはおおむねXの証言、供述通りと言えるでしょう。 ②車とXに似た人物の目撃証言について バッティングセンターを訪れていたXに似た人物の目撃と、Xの所有する白のファミリーカーの目撃に関する各証言があり、当該マンションの近くにいたことは認められるでしょう。 ③犬の毛の鑑定について 8.7％の確率で一致し、これは約10匹に1匹の割合であり精度が高いとは言えず、A・B夫妻の住む○号室を訪れたと認めることはできないでしょう。学会の承認がないことは、これを認めることをやむなしと言える事情ではないです。 上記から、マンションの近くにいただけで、A・B夫妻の住む○号室に入ったという事実は認められず、それ以上の証拠はないと考えられます。 刑事裁判では合理的な疑いを差し挟まない程度の証明が必要とされるので、その域に達していないから無罪と判断しました。