カルチャー特集『ナゴヤの散歩』視点を変えて名古屋を歩く―「何もない街」はきっと「おもしろい街」になる|大須・熱田神宮・鶴舞を巡って | delaDESIGN - デラデザイン

カルチャー特集

カルチャー特集『ナゴヤの散歩』視点を変えて名古屋を歩く―「何もない街」はきっと「おもしろい街」になる|大須・熱田神宮・鶴舞を巡って

こんにちは。delaDESIGN編集部です。

この度、delaDESIGNでは新たにカルチャー特集をスタートすることとなりました。
これまでは、毎月どこかの駅にフォーカスした「駅エリア特集」に企画を絞って更新してきましたが、このカルチャー特集ではエリアを限定せず、テーマに沿った切り口から改めてナゴヤを見つめ直していきます。

ここで言う「ナゴヤ」とは名古屋市内だけでなく、
名古屋を日常的な生活圏とするエリアのこと。

▲夕景の名古屋。栄のシンボル・テレビ塔とオアシス21。

カルチャー特集と銘打ったとおり、ナゴヤ、そしてその周辺には多くの文化が存在します。

それはきっと、どこの街にもあるもの。
そして、その街ならではのもの

文化」という言葉の背景には、風土や歴史、地形、産業、観光・・・そしてそれらをつくり、営んできた人々の日常があります。

ナゴヤの文脈を紐解きながら、ガイドブックにはきっと載っていない、これまでに出会っていなかったナゴヤの一面を一緒に見つけていきましょう!

カルチャー特集『ナゴヤの散歩』

▲和やかな日曜日の鶴舞公園。自転車やペットの散歩で訪れる人もちらほら。

今回の特集は「ナゴヤの散歩」。

散歩、と聞くと思い浮かべるのは、家の周りを歩くことでしょうか。
日常の中で散歩をするとき、見慣れた変わり映えのない風景を見るともなしに歩いたり、犬の生活リズムに合わせて外に連れ出したり、そんな光景を誰でも見たことがあるのでは。

「平穏だけど、ちょっと散歩コースにマンネリしている」

見慣れた景色に飽きている人も、これまでと視点をずらして「新しい散歩」を楽しんでみませんか。

今回の特集では、読者の皆さまに新たな散歩の楽しみ方をご紹介していきます。

名古屋に暮らしていると「名古屋には何もない」「行くところがない」という声を聞くことがときどきあります。
でも本当にそうでしょうか?

近いからわざわざ泊まらない隣町のホテルに泊まってみたり、いつもと違う道を歩いてみたりする。

遠くに行くばかりが旅ではない。
近くにある、それゆえに普段行かない場所に行くのも旅だ

とは、放浪を愛する、とある作家の言です。

私たちも遠くに行かずとも少し視点をずらすことで、旅や非日常の高揚感を取り入れることはできるはずです。

今回は散歩と名古屋を愛するライターによる、新しい散歩へと読者の皆さまをお連れします。

カルチャー特集「ナゴヤの散歩」



言葉から見る、名古屋と散歩の知られざる関係

▲猫もそぞろ歩き。

実際に散歩を始める前に、まず「散歩」という言葉を辞書で調べることにしました。

〘名〙 気晴らしや健康などのために、ぶらぶら歩くこと。あてもなく遊び歩くこと。そぞろ歩き。散策。

※済北集(1346頃か)二「散三歩前坡与二後岡一別尋二幽径一入二禅房一」
※武蔵野(1898)〈国木田独歩〉二「午後犬を伴ふて散歩す」 〔記‐上〕

[語誌]
(1)中世から漢詩文に使用例を見ることができるが、一般的に用いられるようになったのは明治時代である。
ヘボンの「改正増補和英語林集成」(明治一九年)から見られるが、その意味として「walking for exercise」とあり、当初「散歩」は運動の一種と考えられていた。

(2)使用されるにつれて、単に運動としてばかりでなく、古くから使用されていた「逍遙」の意味をも含むようになった。

コトバンクより引用

そもそも、散歩という概念は近代に入ってから登場した考え方のようです。
今のようにぶらぶら歩くというよりは、もっと運動という色合いが強かったと言えます。

そして、気になったのは「古くから使用されていた逍遥の意味をも含むようになった」の箇所。

逍遥といえば、日本の近代文学の確立に多大な影響を与えた坪内逍遥をご存じでしょうか。

[名](スル)気ままにあちこちを歩き回ること。そぞろ歩き。散歩。「郊外を逍遥する」
[類語]歩く・ぶらつく・ほっつく・散歩・散策・漫歩・漫遊・巡歴・足任せ・そぞろ歩き・遊歩・行脚あんぎゃ・跋渉ばっしょう・杖を曳ひく

コトバンクより引用

改めて「逍遥」を辞書で引いてみました。
気ままにあちこち歩き回る、そぞろ歩きをするという意味のペンネームをつける感性がユニークです。

ちなみに坪内逍遥は名古屋にもゆかりがあり、美濃加茂市生まれで名古屋に育ち、愛知外国語学校(現・愛知県立旭丘高等学校)で学んだ経歴の持ち主でもあります。
まさに名古屋は散歩に愛された街なのでしょう。

『ナゴヤの散歩』特集記事を読む

今回は、異なる視点で3人のライターが名古屋市内の3ヶ所を散歩してきました。

角の丸い窓から名古屋を眺めて【中区大須】


「角の丸い窓」と名づけた窓ばかりを愛で、蒐集している写真家がいるらしい。
角の丸い窓とはなんぞや??と心の片隅にひっかかっていた疑問を、カルチャー特集で解き明かしたい!
そんな想いから、角の丸い窓をこよなく愛する写真作家・河合莉子さんに大須の窓を集めてきてもらいました。

不思議な魅力と引力を放つ「角の丸い窓」はやはり名古屋の街のあちこちに眠っていました。
今回は、名古屋市内外から多くの人が集まる「大須・上前津」エリアの角の丸い窓を紹介します。

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「大須観音」駅エリア特集
「上前津」駅エリア特集

熱田神宮周辺でレトロさんぽ【熱田区神宮前/熱田/熱田神宮西】


ナゴヤにいると、ナゴヤ生まれ・ナゴヤ育ちという人に出会う機会が多いのでは。
そんな仮定から、就職とともに名古屋にやってきたというライターのはるさんに名古屋で散歩をしてもらいました。

内側にどっぷりと染まってしまうと見えなくなってしまう身近な魅力。
それはただ「見えていなかった」あるいは「見ようとしていなかった」だけなのかもしれません。

今回は駅前の再開発で大きく街の雰囲気が変わろうとしている「神宮前」エリアで、はるさんが好きな「レトロなもの」に着目した散歩の模様をお届けします。

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「熱田神宮」駅エリア特集

近代都市・名古屋のあけぼの【昭和区鶴舞】『鶴舞公園』『鶴舞中央図書館』の1世紀


今年(2023年)は名古屋市立図書館の100周年。名古屋で最初にできた図書館は現在の鶴舞中央図書館がある鶴舞公園からスタートしました。

鶴舞公園の歴史を紐解いていくと、現在のまちづくりにつながる名古屋の近代化の歴史と密接な関係があることがわかってきました。

100年前の文化・教育事情、そして隆盛を極めた博覧会。さらには河川改良など、さまざまなトピックスが現在の名古屋を創っているようです。鶴舞の過去を知り、これからの未来へも思いを馳せてみましょう。

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delaDESIGNを読んで〝街〟歩き

▲「書を捨てよ、町へ出よう」とは言いますが、まずはdelaDESIGNを読んでみては。

あなたの暮らす街の周りにはどんな景色がありますか?
「ただ歩くだけ」の散歩に少し変化を加えて、この街にしかない景色を探してみるのも面白いかもしれません。

少し視点を変えるだけで、新しい散歩の楽しみとの出会いがきっと訪れるはずです。

もっと「ナゴヤの散歩」を楽しむ!



ABOUT ME
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イトウユキコ
1990年 名古屋市出身・在住。ギャラリー運営を経て、ライター・編集者に。ほかにナゴヤでまち歩きなどのイベント企画も。地域の文化や産業など、街の文脈を伝えることがライフワーク。セトモノの街・愛知県瀬戸市で地域プロジェクトにも関わり、書くことを軸にローカルを楽しむ人。